ryomiyagi
2020/08/21
ryomiyagi
2020/08/21
いま、世の中には、「これを使えば美しくなれますよ」という商品があふれていますね。
クリームや美容液などの化粧品はもちろん、美顔ローラー、スチーマーなどの器具もありますし、エステサロンでは機械を使った施術などもおこなわれています。
これらはどれも効果がありますが、私は世界中のありとあらゆる美容法のなかで、最も効果的で持続性があるのは、自分の手でおこなうマッサージだと断言します。
こういうと「本当?」という反応が返ってくるのですが、そう言いたくなる気持ちもわからなくもありません。
一銭もかからず、昔からある単なるマッサージが、この世でいちばんいい美容法だなんて、ちょっと信じられませんよね。それよりも最新式の機械とか、新しく発見された高価な美容成分などのほうが効くような気がします。私も昔はいろいろなエステやスパなどで最新式の機械を使った施術をしていましたから、それよりも人間の手のほうがいいとは、その当時考えることもありませんでした。
でも、次のような理由から「マッサージがベスト」だと言い切れるのです。
顔には目、鼻、口、耳という感覚器官が集中していますから、顔の筋肉は知らないうちに意外とこっているもの。そのコリを指でやさしくほぐすことで、血液の流れがよくなる。すると老廃物が流れていき、肌の細胞の修復が促進され、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸といった真皮の成分を作り出す「繊維芽細胞」が活性化されます。
その結果、むくみが消えて顔の輪郭がシャープになるので、「小顔」になります。鼻の横のむくみがとれれば鼻が高く見えるし、目のまわりの老廃物が流れると目が大きく見える。
さらに肌の色も明るくなり、たるみやシワも改善されるし、顔の筋肉がやわらかくなるので、表情が豊かになり、魅力が倍増します。さらには頭がスッキリするので、ものごとに集中しやすくなる。このように、マッサージはよいことづくめなのです。
そして大事なのが、毎日5分でもいいから続けること。エステサロンに毎日通えればいいけれど、時間の面でも費用の面でも現実的ではありません。でも自分の手でマッサージするだけなら、シャワーを浴びるとかメイクを落とすとか、すでに日々の習慣になっていることにちょっとプラスするだけ。だから習慣にしやすい。つまり自分の手でおこなうマッサージこそが最強のアンチエイジングなのです。
お風呂に入るとき、シャワーを浴びるとき、顔を洗うときに、体の汚れと一緒に自分のその日のストレスを流すつもりでマッサージすると、さらに効果が上がります。
人間は寝ているときも体の緊張は完全にとれていません。眠っていても顔の筋肉には力が入っています。入浴中など、気持ちがリラックスしているときにおこなうのが、マッサージの効果を最大に引き出すコツです。
もう一つ、自分の手を使ったマッサージには利点があります。それは自分の肌の感触を、自分で感じ取れること。
家電量販店に行くと、ダイヤモンドのようにカットしたキラキラした美顔器やマッサージ器などがたくさん売られていますね。日本の電化製品は世界一。自宅で使える美顔器も世界一高性能なものがたくさんあります。
でもそれを使ってマッサージをしても自分の顔に直接さわるわけではないので、どこがどんなふうに凝っているかが、いまひとつよく把握できないのです。だから自分の手で自分の顔を触ることが大事。
私はいつも、「マッサージをするときは、自分と対話してください」と言っています。
「ここ、ちょっと痛いけれど押してると気持ちいいな。もうちょっと長いこと押してあげようかな」
「なんだか今日はいつもより眉間の筋肉が固いみたいだよ。スマホの見すぎだね」
「あれ、顎の噛み合わせの部分が凝っているなあ。今日、あの人にあんなことを言われたのが悔しくて、歯を食いしばっちゃったんだね。でももう終わったことだから忘れよう」
そんなふうに自分と対話しながらマッサージすることで、自分のストレスを把握することができます。そのうえで自分の手でコリをほぐし、老廃物を流していくと、さらにマッサージの効果が上がるのです。
なぜなら「ここが凝っているな」と把握することで、「もう流れていいよ」というメッセージが自分の脳に送られるから。スマホの動画を見ながら、うわの空で美顔器を使うよりも、そのほうが効果が高い。
美顔器を使うと、そのモノに頼ることができます。「この美顔器を使って、こんなにきれいになりました」と言われると、自分もそうなると思える。その気持ちはよくわかるし、それを否定するつもりはまったくありません。だからクリスタルの石を使ったり、流行りのカッサを使ったり、テレビを見ながら美顔器を使ったりしても全然いいと思う。
ただ、それが終わったら道具を置いて、手を使ってねと言いたい。せっかく何か道具を購入して、自宅でケアをするならば、健康な肌の上からケアしたほうがいい。そうすることでさらに効果もプラスになります。
文/長山清子
株式会社光文社Copyright (C) Kobunsha Co., Ltd. All Rights Reserved.