ふたりの関係はこうすればうまくいく

今泉愛子 ライター

『ふたりのきほん100』光文社
松浦弥太郎/著

 

「あなたとは、いつも未来のことを語り合いたいと思っています」

 

松浦弥太郎さんの新刊『ふたりのきほん100』は、こんな言葉から始まります。楽しいこともあれば、面倒なこともあるのが人と人との関係です。大切に思う相手、一緒にいる時間が長い相手と、どうやったら気持ちいい関係を築くことができるのでしょうか。

 

この本で松浦さんは、日々の暮らしで心がけたいことやケンカしたときの振る舞い方、しあわせの感じ方など、200の提案をします。
たとえば、こんなふうに。

 

「ふたりの間でルールを決めたり、どうしようかと話し合ったりするときに、『まだ決めないでおこう』という選択肢があってもいいと思っています」

 

決断するための方法を説くのではなく、肩の力の抜き方をさりげなく提示してくれるのです。
別のページには、こんな言葉も。

 

「特別であることが豊かさだと思っていると、もっともっとと追い求めたくなります。だけど豊かさは、頑張りながら、頑張りすぎないところにもあるのです。平凡こそ、人とわかちあえるいい物差しになります」

 

松浦さんは、これまでたくさんの著書をつうじて、人間関係や仕事の心構え、時間やお金の使い方について話してきました。松浦さんの言葉が響くのは、どんなときにも「心のもちよう」をわかりやすく伝えてくれるから。

 

毎日の暮らしのなかで、心のゆとりはどうやったら生み出せるのか。仕事で理不尽な思いをしたとき、どうやって怒りを鎮めればいいのか。人間関係で信じがたい裏切りにあったとき、どうすれば水に流すことができるのか。そんな人生の難問に寄り添ってくれるのです。
松浦さんの言葉は、ただ優しいだけではありません。

 

「愛する人がそばにいれば、さびしい思いをしなくてすむということは、幻想です」

 

こんなドキリとするような言葉を投げかけることも。だけどいつも最後は納得してしまうから不思議です。

 

これから「ふたり」になろうとしている人、今まさに「ふたり」になったばかりの人だけでなく、「ふたり」に飽きてきた人、そろそろ「ひとり」になろうと考えている人も、きっと何かが見つかります。ひとりひとりを幸せにしてくれる本です。

 

『ふたりのきほん100』光文社
松浦弥太郎/著

この記事を書いた人

今泉愛子

-imaizumi-aiko-

ライター

雑誌「Pen」の書評を2002年から担当。インタビューや書籍の構成ライターとしても活動している。手がけた書籍は出口治明『教養は児童書で学べ』(光文社新書)、太田哲雄『アマゾンの料理人 世界一の“美味しい”を探して僕が行き着いた場所』(講談社)など。ランナーとして800mで日本一になったこともあり、長いブランクを経て、再び日本記録に挑戦中。


・Twitter:@aikocoolup
・オフィシャルブログ「Dessert Island」:http://aikoimaizumi.jugem.jp/

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