akane
2019/02/08
akane
2019/02/08
自宅でお酒を飲む時、「今日はこのグラスで飲みたい!」という明確な気分がある日以外は基本、「サーモス」の真空断熱タンブラーで飲んでいます。ロングの缶チューハイがちょうど入る大容量で、冷たさも温かさも驚くほど長時間温キープされ、夜に飲み残してしまったチューハイの氷が、翌朝見たらまだ溶けきっていなかった、なんてこともあるほど。
また、ピクニックなどで外でお酒を飲む時は、同じくサーモスの「保冷缶ホルダー」が必須。こちらは500mlの缶ビールや缶チューハイがそのままスポッとはめられ、機能は同様。暑い夏でも、飲みきるまでずっと冷たいまま。
そう、僕、「真空断熱信者」なんです。
東急ハンズの料理グッズ売り場が好きで、よく目的もなくふらついているんですが、そこで一目惚れしてしまった弁当箱があり、最近、弁当作りにはまっています。となると、水筒も欲しくなってくるのが人の心というもの。
そこでまた東急ハンズへ行って、なにかいいのないか物色してみたところ、これまた一目惚れして衝動買いしてしまった水筒があるんですよね。
「リバーズ」というメーカーの「バキューム フラスク ステム」ってやつで、究極に無駄のないデザインと漆黒のボディ、さらにずっと触っていたくなるようなザラザラの質感が素敵。もちろん保温、保冷効果も申し分なく、さらにはこの水筒、ステンレスの厚みを極力薄くすることによる軽量化の結果、持ち上げるたびに驚くほど軽いんです。
店頭では「スマホとほぼ同じ重さ!」と謳われていましたが、「どのスマホ?」って感じで若干ピンと来づらいですよね。もっとわかりやすい例えでいうと、一般的な大きさの「鯖缶」1個ぶんくらい。想像してみてください。軽いでしょう?
さて、会社の昼休み、自分で作ったお弁当をうまいうまいと自画自賛しつつ、朝水筒に入れてきた熱いお茶をすすっていて、ふと思いました。
「あ、これで焼酎のお湯割が飲みたい」と。
シチュエーションを想像してみます。
せっかく熱々のお湯割りをどこにでも持ち出せるんだから、やっぱり外がいいだろう。しかも、あえて寒い冬の朝。つまみは乾きものひとつくらいで十分……ん? ちょっと待てよ。確か家に、これまた真空断熱のスープジャーもあったはず。あれ、ワンカップがスポッとはまるくらいの大きさだよな。
ということは、あれをこうして、これをああして……ひらめいた!
ひらめいてしまいました。単に家で焼酎のお湯割りを作って持ち出し、そのへんで飲むというだけではない、題して「冬のあったか野外酒」大作戦。
うまくいくかどうかは試してみなければわかりませんが、その価値は十分にある!
が、こんな酔狂、家族に協力してもらってまでやることではありません。
休日の朝、やっと夜が明けるくらいの時間帯にコソコソと準備をし、極力ドアの音をたてないよう、僕は家の近所の公園へと向かったのでした。
用意したものは以下です。
・真空断熱水筒(熱湯入り)
・真空断熱スープジャー(空)
・カップ焼酎(黒霧島)
・カップ酒(ワンカップ大関)
・おつまみ(ぬれいか天国)
ここからは順を追って、検証の経過を記録していくことにしましょう。
まずはスープジャーに、水筒の熱湯を少し注ぎます。
そこに、ワンカップ大関をスポッとはめてみます。うん、サイズいい感じ。
まだお湯が足りないので、ワンカップを沈めた時にひたひたになるくらいまで、何度かに分けて慎重に注ぎ足していきます。
つまり、この場でカップ酒をお燗してしまおうというわけ。
次に、空容量のできた水筒に黒霧島を注ぎ込み、焼酎のお湯割りを作ったら準備完了!
さっそく黒霧島のお湯割をグビグビと行きたいところですが、ここはなんとなく、がまんの方向がいい気がする。まずはお燗酒から始めたい気がする。
そわそわと様子を見つつ、きっかり5分で、ワンカップがいい~具合のぬる燗になりましたよ。
おつまみを開け、いざ冬のあったか野外酒開始!
ゆっくりとジャーからワンカップを引き抜き、ちびりと一口。冷めないよう、すぐ元に戻す。
じんわりと、日本酒の優しい温かさが、冷えた体に浸透していきます。
あぁ、うまい……。
角がなく、素直で、それでいてお燗によって絶妙に引き出された甘みがあり。
ワンカップ大関って「単なる安酒」みたいなイメージでとらえられがちなところがあるかもしれませんが、あらためて、本当にバランスのいい、うまい酒だよなぁ。
ここでおつまみを一口。
今日はコンビニで何気なく手に取った、「ぬれいか天国」という艶っぽい名前のお菓子。「イカの姿あげ」のぬれせんバージョンといったらいいんでしょうか、パリッじゃなくしっとりとして、衣の油とイカ風味が融合し、この状況で味覚が鋭敏になっているのか、それとももともとこういうものなのか、過剰ともいうべき濃厚な旨味が押しよせます。
これは酒、4口いけるな。ちび、ちび、ちび、ちび。
おつまみをもう一口。
燗酒、ちび、ちび、ちび、ちび。
そんなことをしていたら、やがてお酒が空になり、ふんわりと良い気分になってきました。
さぁ、次は芋のお湯割りいきましょう。
ゆっくり水筒をかたむけ、ごくりと一口やると、さっきのぬるやかさとの落差で、一瞬びっくりしてしまうほどに熱々!
うわ、あちぃ、あ、でもうまい。
やはり、日本酒が温まるまでの5分間、飲むのをがまんしておいたのが正解でした。このちょっとした刺激によって一度気分が変わり、「第2章開幕」ってな気分になってきましたよ。
熱によって芋の甘みが引き立てられた焼酎をぐびぐびとやり、つまみを噛み締める。なんなんだこの相性の良さは! と、心の中でひとり静かに驚く。そのループ。
はたから見たら究極に地味な、だけど最高に優雅で贅沢な、早朝のひととき。
約30分くらいで、なにごともなかったかのように家に戻る、秘密の楽しみ。
あぁ、これ、クセになりそうです。
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