『大人パリジェンヌStories』制作秘話 YOKOの渡仏物語(1)
著者累計42万部超! 大人気イラストレーター・YOKOの最新刊『大人パリジェンヌStories~おしゃれと恋と日常と~』にはファッション・恋愛・食・美容・時間の使い方……と、真似したいヒントがたくさん!
大人が輝くYOKO流パリの世界はどのようにして出来上がったのか? 3回に分けてYOKOの渡仏物語を紹介します。
【YOKOの渡仏物語(1)】 40歳、未来に悲観的になってしまった
今や一大ジャンルとなった“パリジェンヌ本”で15年以上も第一線に立つ著者がいる。イラストレーター・米澤よう子さん。著書は20冊近くに上り、累計発行部数は42万部超と、長く絶大な支持を集めている。
そんな米澤さんが最新刊で取り上げたのが、over40のパリジェンヌたち。既婚・未婚・子のアリナシ……、さまざまなライフスタイルの大人パリジェンヌたちが生き生きと描かれているが、そこにはアラフォーでパリに移り住んだ、自身の経験や知見が数多く反映されているという。
「当時の私は、それまで上手く回っていた事に、引っかかりが生じるようになっていました。一言でいえば仕事中毒(ワーカーホリック)。生活は仕事中心で、いろんなことを同時にこなして、すべてをスピーディに進めて。だからこそ、ちょっとしたトラブルで作業がストップすると、「予定が狂っちゃう~!」と、イライラしてしまったり」(米澤よう子さん/以下同)
聞けば、当時は毎日のスケジュールを分刻みで詰め込んでいたのだという。
「不意のトラブルで予定が狂うと、自分本位に考えてイラっとしてしまったり。よくよく思い返せば、現状はそんなに悪くない時期でした。なのに当時の自分は『この先、明るい未来がないかもしれない』と悲観的になってしまった。そうこうしているうちに体調を崩し、入院せざるを得なくなったんですね。あまり話したことはないのですが、この頃に先端巨大症(末端肥大症とも)という病が見つかりました」
病が見つかったのは39歳の時。
急きょ決まった手術は8時間に及び、今でも薬などによる治療を続けている。
「この病気の症状の一つとして“外見の変化”があります。成長ホルモンの影響で、主に体の末端(手足や鼻、あごなど)が大きくなるんですね。顔全体も大きくなります。この病気は、当時の私には、あまりにも突然すぎて……。病の進行をうまく受け入れることが出来ませんでした」
そこで思い至ったのが、パリだった、という。
「正確に言うとそれ以前に何度かパリには観光で行っていて、現地に友人も数人いる状態でした。それで私は、パリの友達に悩み相談というか、『美に磨きをかける仕事なのに自分の体調がついていかない。もっと仕事をしたいけど、もう人に会いたくない』って電話をしたんです。そしたら相手が『全然、大丈夫だよ~、こっちにはいろんな人がいるから。容姿とかおしゃれとか、全部パリでは些細なことになるから~』って言ってくれて、『なるほど、それなら少し日本を離れてパリで暮らしてみたい』と思ったんですね」
≪その(2)へつづく≫
※この記事は、『大人パリジェンヌStories』(米澤よう子)と著者への取材をもとに作られました。