優雅で不穏な「嘘と約束」『アンソロジー 嘘と約束』 矢崎存美
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現在発売中の『嘘と約束』は、アミの会(仮)が世に出したアンソロジーの第六弾(七冊目)です。テーマとタイトルが一緒でシンプルだけど、とても魅力的でかつ面白いアンソロジーに仕上がったと自負しております。よろしくお願いいたします。

 
今回のメンバーは、大崎梢(おおさきこずえ)さん、近藤史恵(こんどうふみえ)さん、福田和代(ふくだかずよ)さん、松尾由美(まつおゆみ)さん、松村比呂美(まつむらひろみ)さん、そして私、矢崎存美(やざきありみ)の六人です。実力派ばかりです!(自分が入っていると思うとムズムズしますが! 私、今回のまとめ役なのです)

 

「嘘と約束」ーーなんてことのない言葉ですが、二つ並ぶととても謎めいて見えませんか? 嘘には真実があり、約束は破られることもある。嘘をついたことのない人も、約束をしたことのない人も、おそらくいない。あなたがついた嘘、あるいは隠された真実、そして破られた約束と守るべき約束が、この本の中に描かれているかもしれません。

 
で、アミの会(仮)とはいったいなんぞやーーと思う方もいらっしゃるでしょう。端的に言えば、短編好きの女性作家が集まって、二〇一五年に結成された会です。主にアンソロジーを出したり、女子会をしたり、と至ってフレンドリーな集まりなのですが、しかしてその実態はーー去年の五月、青山(あおやま)での楽しいお茶会に迷い込んだホラー作家・井上雅彦(いのうえまさひこ)さんの言葉を引用いたします。

 

『優雅な女子会に見えるけれども、当代きっての「殺しのプロ」がせいぞろいですね』

 
ホラーの名手にこんなことを言われてしまうとは! しかし「殺しのプロ」っていうのは本当のことなのですよね。だってミステリー作家ばっかりなんですもの。あ、私の本職はファンタジーものなんですけど、一応書いたことあるしね!

 

そんな殺しのプロたちが丹念に描いた「嘘と約束」の物語、ぜひご堪能ください。

 

『アンソロジー 嘘と約束』
アミの会(仮)

 

あなたは誰に嘘をつきましたか。どんな約束を破りましたかーー。「嘘と約束」をテーマに、多様多彩に趣向を凝らした、名手たちの全6編。実力派女性作家集団によって版元の垣根を越えて展開される書下ろしアンソロジー、甘美で不穏な最新刊。

 

PROFILE

アミの会(仮)

2015年から活動を開始した、女性作家グループ。多彩なテーマの新作書下ろしアンソロジーを企画しており、この作品集が7冊目にあたる。

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