長い髪、受け継がれる制服、女学園、王子様・・・その世界観にどっぷり浸る至福『繭、纏う』

大岩 ヴィレッジヴァンガードららぽーと立川立飛店店長・百合部部長

『繭、纏う』KADOKAWA
原百合子/著

 

 

今回ご紹介させていただきますのは原百合子先生の「繭、纏う」です。

 

書店で表紙を見た時に、女の子たちの髪の毛がふわりと舞っている描写に心を奪われて、思わず手に取りました。

 

舞台は星宮女学園という郊外の中高一貫校。
生徒は皆、長髪の麗しい女子たちで、「ごきげんよう」なんて言葉が飛び交うような耽美な世界観。

 

この学校では制服を生徒たちが作り、後輩に渡していく風習がある。主人公、横澤洋子はその風習に憧れを抱き入学してきたのだ。

 

洋子と仲の良い友人であり、生徒たちの王子様である佐伯華。一人称は「僕」。彼女は皆の前で王子様を演じることに時折疲れているが、その素の姿は洋子だけに見せている。そんな華に対し、洋子は好意を抱いているのであった。

 

佐伯華には、とある女生徒と共に、学園の外に逃亡を図った過去がある。終点の駅に着きさらにその先へ行こうとした華は「君のためなら本当の王子様にだってなれる」と決心してその女生徒に伝えようとしたが、追っ手が来てしまい逃亡は失敗に終わった。彼女の「王子様」という存在が作られたものであり、且つそれが彼女自身を縛るものであることがわかるエピソードだ。

 

この作品、本当に画面の書き込みがすごい。時間も忘れて見入ってしまう。髪の毛の描写もまるで絹糸のよう。また、敢えて言わないが彼女たちの制服には秘密があり、彼女たちはその制服や箱庭のような学園に縛られている、ある理由がある――それがこの物語の核となるものだと見受けられます。

 

また、「王子様」というフレーズや箱庭のような学園が『少女革命ウテナ』を彷彿とさせる。少女革命ウテナが好きな人にはぜひおすすめしたい。

 

そして個人的にも、こういう女学園とか王子様といった要素のある世界が本当に好きなのです…!私の好みドンピシャすぎてもう…!!

 

まだ1巻なのでストーリーの全容が判明されていないのですが、すごくすごく続きが気になります。皆さんぜひ読んでください!!

 

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『繭、纏う』KADOKAWA
原百合子/著

この記事を書いた人

大岩

-oiwa-

ヴィレッジヴァンガードららぽーと立川立飛店店長・百合部部長

2014年ごろから店内に巨大な百合棚を作り始め、異動先の様々な店舗で百合棚を作りまくり、現在に至る。

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