2018/10/18
大山 ヴィレッジヴァンガード新店立ち上げ隊長
『いじめを生む教室 子どもを守るために知っておきたいデータと知識 』PHP新書
荻上チキ/著
3月のライオン』というマンガに出てくる川本ひなたという女の子がいます。
(「います」って実在の人みたいですが、作者の姪っ子の実話が元になってるんで「います」で!)
いじめられたクラスメイトをかばった結果、今度は自分がいじめられるようになりますが、辛さや悔しさで涙を流しながらも歯を食いしばって彼女は言います。
「後悔なんてしないっっ しちゃダメだっ」
「だって私のした事はぜったいまちがってなんかない!!」
そう、絶対にまちがってない。
にもかかわらず(マンガの中ですら)友達を救おうとした勇気ある彼女に対しての仕打ちは残酷です。
今まで仲の良かった他のクラスメイトも全く口をきいてくれません。
今もし現実に5才の娘がいじめられたら、あるいは娘の友達がいじめられていると相談されたら、自分には何ができるんだろう?どんな言葉をかければいいんだろう?
ましてや娘がいじめる側だったら?
誰かをいじめたいとは思いません。
誰かにいじめられたくもありません。
いじめはダメだと素直に心から思います。
娘にも同じように思って欲しいです。
でも『3月のライオン』のひなちゃんのように勇気を出して誰かを救った記憶もなければ、誰もいじめてこなかった、と言い切れる自信すらない自分……。
この本を手に取った理由の大半は、娘がすくすくとすごいスピードで育ち、小さいながらも人間関係での衝突もいろいろ起きるようになってきたからです。
こりゃいよいよ「いじめ問題」あるかもよ!と……。
いざそうなった時、今の自分では全然力になれません。
その時に考えていたのでは遅い。いじめについて知らなければ!
僕のようにそう思っている親御さんには間違いなく助けになる本です。
いじめ問題には今まで日本も含む世界の国々が様々なアンケート、調査、研究をしてきた蓄積があります。
いじめが多い環境/少ない環境には明確に傾向があること、いじめにはホットスポット(発生しやすい場所)があること。
そういった正しい知識があれば悩み、傷ついている子どもたちに適切なアドバイスができます。
いじめは年齢が上がるごと傍観者になる割合が増えます。
年齢が上がるといじめの内容も複雑化、深刻化するため、加害者に直接立ち向かうことには困難が伴うからです。
そして次は自分がターゲットにされるという恐怖もあるでしょう。
そんな子どもたちにヒーロー=仲裁者になるか、傍観者になるかの二者択一じゃないんだよ、
ってことを伝えるだけでも間違いなく一歩前に進めます。
たとえヒーローになれなくても、しかるべき仲裁者につなぐ「通報者」の役割ならできるかもしれない。
あるいは「シェルター(避難場所)」や「スイッチャー(嫌な空気を変える人)」のような役割だってあります。
適切なセーフティネットを紹介してあげることだって立派に被害者への支援になるでしょう。
ショッキングないじめ事件が起きる度にワイドショーのコメンテーターが繰り返す、単なる思いつきの「僕の考えた最強のいじめ撲滅法」はもう不要です!
正しい知識があればいじめが起きづらい環境は作れるし、ヒーローが一人だけで戦わなくてもいいんですから。
それでもいつか、身近なところでいじめが起きるかもしれません。
その時娘がひなちゃんと同じことをしたなら……
「絶対にまちがってないよ」と言って抱きしめてやりますよ!!
なんだか単なる親バカの話になってしまいました!すいませーん。
ー今月のつぶやきー
某100均ショップの居抜きで新店を立上げ中です。バックヤードのコンセントの数にやんわり感じる狂気。
※すべて監視カメラにつながっていたらしい…
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『いじめを生む教室 子どもを守るために知っておきたいデータと知識 』PHP新書
荻上チキ/著