おそれは玉ねぎの皮? 安藤美冬が実践する「仕事1割・遊び9割」の生き方
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BW_machida

2021/02/03

ノマドワーカーとして数々のメディアへ出演、多くの著作を執筆するなど、「新しい働き方のパイオニア」として活躍してきた安藤美冬さん。1月20日に発売した3年半ぶりの新刊『新しい世界へ』(光文社)では、誰もが抱えている「こわいこと」にあえて向き合い、挑戦することで、人生にブレイクスルーが起きると語っています。発売を記念したインタビュー第2弾では、実際におそれを乗り越えるための具体的な方法についてお届けします。

 

写真・大倉英揮

 

「おそれ」は玉ねぎの皮のようなもの

 

本書『新しい世界へ』では、安藤さんのメルマガで集められた読者代表、座談会メンバーたちの「こわいこと」に関するエピソードがいくつか登場します。自分の本心を伝えるのがこわい、ブログを始めるのがこわい、お店を開きたいけど失敗するのがこわい……。その「おそれ」は十人十色ですが、誰もがそのせいで、動きが止まってしまっているという状態に陥っていました。そうした状態を乗り越えるための方法として、「おそれ」はただの感情的な反応に過ぎず、その感情を特定することが大事だと安藤さんは語ります。

 

「例えば、誰かに何かお願いをするとき、『断られるかもしれない』とこわくなるときがありますよね。その『断られるかもしれない』という感情はどこから来ているかと考えていくと、『相手から嫌われている』『大切にされていない』という“無価値感”が原因になっているということに辿り着きます。それさえ分かれば、『なぜ、私は自分に価値がないと信じているんだろう』『どうしたら自分の価値を認められるだろう』と一歩踏み込んだ自己対話ができ、おそれを手放すための具体的な行動につなげることができるのです」

 

そして、たいていの場合、おそれは数珠のようにつながっていると言います。実際に、座談会に参加した人の中でも、「大人数の前で話すのが苦手」というおそれを持っていた人が、スピーチの練習をして人前に出たのに、まだこわいと感じてしまったというエピソードが出てきます。そこで、じっくり自分の感情に向き合ってみると、当初考えていた「人前で話すのがこわい」という以外に、「自分の声に自信がない」「自分の容姿に自信がない」「否定されたら嫌だ」というように別のおそれが出てくることに気づいたのです。

 

「おそれは玉ねぎの皮のようなもので、一枚めくって、おそれを手放すと、もう一枚より深いおそれが姿を現すことがあります。いつまで続くの? とうんざりすることもあるでしょう」

 

ですが、次々におそれが出てくることは決して落胆するものではなく、むしろ歓迎するものだとも安藤さんは強調します。

 

「新しいおそれを見つけたら、それは自分が進んでいる証拠。螺旋階段のように、上から見たらまるで同じ場所をぐるぐる回っているように見えるかもしれませんが、横から見たら着実にステージは上がっています。自分と丁寧に向き合って対話をし、具体的に行動していくことで、だんだんと『こわい』と感じる時間を減らすことができるんです」

 

写真・大倉英揮

 

本音とエセ本音の違い、自分が本当に望んでいることを知る

 

おそれを手放して前に進むというのは、決して、会社を辞める、独立する、資格を取る、結婚・離婚するといった「わかりやすい行動を起こし、別の世界へ行く」ことだけではないということも本書では語られています。肝心なのは、その動機。“真の本音”と“エセ本音”を見分けることが重要だそうです。

 

「『やりたくない』という否定形ではなく、『やりたい』という肯定形の気持ちから沸き起こるものが“真の本音”です。『離婚したい!』というときも、その理由が『もう夫の言いなりになりたくない!』という否定形であればそれは“エセ本音”で、単なる大人の反抗期状態にある、ということなのです。逆に本音というのは、必ず『肯定形』で現れます。先ほどの例で言えば、大人の反抗期状態で何かを終わらせるのではなく、その先にある『自分の人生を生きたい!』という“真の本音”まで自分と向き合うことで辿り着きましょう。その方法は本書で丁寧に紹介しています。

 

おそれと向き合い、手放していくうちに、本当にワクワクすることや、本当にやりたいことが明快になってきます。私は2017年にSNSをやめるときに本音に気づくことができました。自分が本当にワクワクしているなら、人から認められなくてもいいし、他人の目も気にしなくていいと心底思えたからこそ、仕事がなくなるかもしれない、人とのつながりがなくなってしまうかもしれないといったおそれを手放して、生命線だったSNSから離脱できたのです。今では、自分の心のままに『やりたいことベース』で仕事1割・遊び9割くらいの気持ちで働くことができています」

 

おそれを手放し、「やりたい!」というワクワクした気持ちをベースに行動することでエネルギーがどんどん上昇していく、というのは安藤さんの実体験からも証明済み。この本では、そのための実践的なヒントがたくさん散りばめられています。古い「おそれのメガネ」を捨てることができたとき、新しい「喜びのメガネ」をかけて世界を眺められるようになります。そこで見える景色こそ、あなたにとっての「新しい世界」となることでしょう。

 

PROFILE
あんどう・みふゆ◎1980年生まれ東京育ち。著書12冊累計18万部、新しいフリーランス・起業の形をつくった働き方のパイオニア。慶應義塾大学在学中にオランダ・アムステルダム大学に交換留学を経験。ワークシェアに代表される、働き方の最先端をいく現地で大きな影響を受ける。新卒で(株)集英社に入社、7年目に独立。本やコラムの執筆、ブログや音声配信プラットフォームHimalayaでの情報発信をしながら、パソコンとスマートフォンひとつでどこでも働ける自由なノマドワークスタイルを実践中。KLMオランダ航空、SKII、インテル、アクエリアスなど様々な企業の広告にも出演、働く女性のアイコン的存在である。「情熱大陸」「NHKスペシャル」出演、「Mr.サンデー」「あさチャン!」コメンテーターを務めるなどメディア出演多数。著書に『ビジネスパーソンのためのセブ英語留学』(東洋経済新報社)『会社を辞めても辞めなくてもどこでも稼げる仕事術』『行動力の育て方』(SBクリエイティブ)などがある。
公式ブログ無料メルマガ(まぐまぐ)音声配信(人生相談)

 

聞き手/岡部のぞみ
おかべ・のぞみ ◎編集者・ライター。女性週刊誌・月刊誌の編集、創刊を経験後、紙媒体だけでなくWEBディレクター、読者コミュニティの企画運営などを担当。2016年にはライフスタイル動画マガジンを立ち上げ、編集長を務める。現在は出版社で働きながら、個人としても、WEBメディアでアドバイザーや企画編集としてパラレルキャリアを実践。パラレルキャリア支援メディア「Paranavi(パラナビ)」編集長。「新しい世界へ」(安藤美冬著・光文社)編集協力。

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