akane
2018/02/06
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2018/02/06
韓国ゴルフの強さを語るときには、韓国ゴルフ協会が運営実施する、国家代表・代表常備軍制度を欠かすことができない。
国家代表とは文字通り、韓国ゴルフ協会が選出する韓国代表のことだ。代表常備軍とは代表候補のことで、韓国ゴルフ協会では毎年1月、国家代表と代表常備軍に選出されたアマチュアゴルファーたちを一堂に集めた3~4週間の合宿を実施している。
2011年1月、私はその合宿に密着取材したのだが、その充実ぶりは驚きの連続だった。
たとえばゴルフ練習場での打ち込みだ。
一団は朝のトレーニングを終えて朝食をとったあと、数台の中型バスに分乗して今度はゴルフ練習場に行き、それぞれが一心不乱にボールを打ち続けた。
かれこれ2時間くらいだろうか。互いにスマートフォンで撮影し合い、スイングを確認している者もいたし、巡回するコーチに指導を受けている者もいた。1、2階を合わせて100打席はあったゴルフ練習場が「KOREA」のトレーニングウェア一色で埋まる光景は圧巻だった。
そんなゴルフ練習場での打ち込みのあとは、いくつかのグループに分けられてゴルフ場へ。そして、実戦形式のラウンドが始まった。コーチのひとりがこんなことを言っていた。
「済州島は『東洋のハワイ』と言われるリゾート地だけあって、島内にはゴルフ場が40以上もあるんですよ。さまざまなゴルフ場で練習できるだけでなく、島全体が風が強くて有名なので、自然と戦い、どう味方につけるかといったことも体感できるんです」
体感し習得するのはゴルフの技術だけではない。
夕食を終えると、今度は全員が宿泊する高級ホテルの宴会場に集まり、「理論講座」という名の講義が始まった。
取材したその日は「ルーティーンワークの重要性」だったが、ゴルフのルールや栄養学、心理学にメンタルトレーニングまで学ぶという。
しかも、ときには「胆力訓練」なるものも行われるらしい。文字通り、胆力=度胸を鍛えるための訓練なのだそうだが、その鍛え方がユニークだ。
あるときは深夜に宿舎そばの墓地に行き、コーチが事前に隠しておいたモノを持ち帰ってくるよう送り出されるという。まさに肝試しだ。
2007年から日本ツアーでプレーする黄アルムも言っていた。彼女は2000年から2005年まで代表常備軍として合宿に参加したそうだが、もっともつらかったのは「真夜中の宝探し」と言われる訓練だった、と。
「午前3時に突然起こされて、合宿所の裏山に隠された帽子を探して持ち帰ってこいと指示されるんです。暗闇の中を当てもなく走るあの怖さは忘れられません。おかげで何が起きても動じない精神力が身につきましたけど(笑)」
またあるときは、夜の漢拏山を登ることもあるという。チームワークで困難を克服するフィールドワークのようなもので、打開力を磨くことを目的にしているとのことだった。
まさに朝から晩までゴルフ漬けとなる毎日だ。そんな日々を3~4週間続けるというのだから舌を巻かずにはいられなかったが、当の選手たちはまったく苦にしていないようだった。一日の練習見学を終えたあと、広報がセッティングしてくれたインタビューに現れた女子選手も言っていた。
「眠くてもつらくても、ゴルフがうまくなるためならなんでもやる覚悟です。将来の夢ですか? プロになって韓国やアメリカで活躍する立派な選手になりたいです!」
聞けばその年の春から高校生になるという。名前はキム・ヒョージュ。このときはのちに彼女が日本やアメリカで大快挙を成し遂げるとは想像すらできないほど、あどけなかった――。
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以上、慎武宏氏の近刊 『イ・ボミはなぜ強い?~知られざる女王たちの素顔~』(光文社新書)から引用しました。日本女子ゴルフ界を席巻し、賞金女王を最後まで争ったイ・ボミら韓国人ゴルファーたち。彼女たちはなぜ日本に来たのか。なぜ強くてうまいのか、その秘密がわかる!
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