ミトコンドリアモードをオンにして健康に生きよう
ピックアップ

BW_machida

2022/12/23

温活ブームとは真逆をいく書籍、『体を冷やせば健康になる』(光文社)が好評発売中です。著者であるナグモクリニック・南雲吉則先生は、自身のオンラインセミナーで、その種明かしについて語ってくれました。最終回では、ミトコンドリアモードを発動させる4つのポイントついて教えていただきました。

 

写真/野口博

 

ミトコンドリアモードを発動させる4つのポイント

 

わたしたちの活動を支える主なエネルギーは、『ミトコンドリアモード』と『糖質モード』という2つの方法で産生されているということは、前回お伝えしました。わたしたちの体には、ミトコンドリアモードと糖質モードのどちらも必要ですが、健康長寿を実現させるために選びたいのは、ミトコンドリアモードです。ミトコンドリアモードのスイッチを入れるのは、『有酸素運動』『睡眠』『空腹』『寒さ刺激』の4つが鍵になります。

 

有酸素運動:消費カロリーが多い方が痩せるのか?

 

有酸素運動と筋トレとを比較してみましょう。散歩して180kcal消費した場合と筋トレをして360kcalを消費した場合とでは、実は散歩の方が痩せるのです。筋トレの方が消費カロリーは多くなりますが、無酸素運動なので、筋肉中のグリコーゲンという糖しか燃焼していません。脂肪は酸素がないと燃焼しないので、深呼吸したり散歩したりする有酸素運動の方が実は痩せるのです。

 

睡眠:ゴールデンタイムを逃すべからず

 

ノンレム睡眠は、脳も体も休んでいる状態です。成長ホルモンの作用で寝汗をかいて熱を発生させ、脂肪を燃焼しています。しかし明け方には、レム睡眠に変わり、体温は徐々に下がっていきます。すると脂肪燃焼する代わりに、夢をたくさん見たり、寝返りを打ったりして、脳が活発に働きます。脂肪を燃焼してミトコンドリアを増やすためには、夜10時から夜中の2時のゴールデンタイムの間によく寝て、成長ホルモンを分泌し脂肪を燃焼していくことが大切です。

 

空腹:低糖質の食生活を送ろう

 

甘いものを食べると、血糖値が上がります。体は糖質を燃焼してエネルギーを作ろうとしますが、エネルギー源は糖質なので脂肪は燃焼しません。一方で、低糖質であったり空腹であったりすると、血糖値は上がらず、血液の中に糖質がないため、体は酸素と一緒に脂肪を燃焼しようとします。つまり、お腹がグーグーと鳴っているのは、脂肪が燃焼している証です。

 

食事をする場合のポイントは、おかず食いをし、なるべくご飯やパンなどを控えることです。おやつを食べる場合は、ミックスナッツやチーズにしましょう。食事とともにMCTオイルを摂るのもオススメです。MCTオイルは体の中にケトン体をたくさん作ります。ケトン体は優先して燃焼に回るため、低糖質と同じような効果が得られます。このように低糖質の生活を続けていくと、ミトコンドリアが増え、がんになりにくくなるのです。

 

寒さ刺激:ふるえ熱生産と非ふるえ熱生産

 

分厚いコートを着ているにも関わらず、寒さにガタガタ震えることを、『ふるえ熱生産』といって、これは無酸素運動になります。酸素を使わずに息をこらえ、糖質ばかりを燃焼しているので痩せません。一方で、冬でも半袖短パンで外を歩いている子どもがいます。これは体の中に蓄えた脂肪を、寒さ刺激によってミトコンドリアが燃焼し、震えなくても熱を生産することができるので、寒さを感じにくいのです。これを『非ふるえ熱生産』といいます。とはいえ、いきなり真冬に半袖短パンで外へ出ると、最初はふるえ熱生産をするかもしれませんが、頑張って2、3週間続けていると、ミトコンドリアがどんどん増えてきて、蓄えている脂肪を燃焼する非ふるえ熱生産に変わっていきます。

 

では、一体どのような寒さ刺激がよいのでしょうか。昔から寒稽古や寒中水泳、滝行が行われてきましたが、現代ではなかなかできません。そこでわたしが思いついたのが『水シャワー』です。

 

水シャワーのやり方

 

お風呂に入ると体温調節中枢の働きによって毛穴が開きます。その後、暖かい部屋で過ごしていると、どんどん汗をかいて逆に体温が下がり、寝る頃には冷え性になってしまいます。そうではなく、水シャワーをすることによって、熱を内側に閉じ込めれば良いのです。すると、ミトコンドリアが酸素と一緒に脂肪燃焼するため、お風呂から上がるとポカポカしてきます。

 

具体的な方法としては、まず温かいお風呂の中でリラックスします。そして、お風呂から上がる際に、始めは少しぬるめの温度で、そして次はちょっと冷たくして、最後はほとんど水にして、首筋からザーッとシャワーを浴びてください。ブルブルとなったらそれでOKです。

 

このように首筋に水シャワーを段階的に浴びて、ブルブルとなった瞬間に、皆さんの体温調節中枢はオンになっています。首に水シャワーをあてたくない人は、肘や膝から先だけでも構いません。シャワーがなければ、洗面器で掛けたり冷たい水で絞ったタオルで体を拭いたりしてください。昔の江戸っ子は、熱いお風呂に入ったあとは、掛け水をして出てきたそうです。

 

朝起きたときも、同様に冷たい水で顔を洗ってください。熱いお湯で顔を洗ってしまうと、冷え性になってしまいます。このように手や顔を冷やすだけでも、体温調節中枢はオンになるのです。

 

普段は厚着をしている人も、少しずつ薄着になってみてください。そうして、ミトコンドリアを増やしていきましょう。有酸素運動、睡眠、空腹、寒さの4つが、ミトコンドリアを増やし、わたしたちを健康へと導いてくれるのです。ぜひお試しくださいね。

 

ライター/ryoco

 

『体を冷やせば健康になる』
南雲吉則/著

関連記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterで「本がすき」を