akane
2018/10/05
akane
2018/10/05
アインシュタインによると、「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクション」ですが、常識も一種のヒューリスティクス(ある程度の精度で最速の思考をする方法)だといわれています。問題を解決する際には、「留意すべき情報」と「無視できる情報」を適切に判断しなければなりません。
しかし、一つの問題に関連する情報はほとんど無限にあり、人がそれら全てについて検討することはできません。それでも現実には、人は多くの問題を適切に解決できているように思われます。これは人が常識を直感的に活用しているからであって、全てをきちんと定義しなければ動かないコンピューターと比べ、ここが人の強みであるともいわれています(少し前から流行し始めた、ディープラーニングができるAIはこの点でも優れていますが)。
一方で、人もこの「留意すべき情報」と「無視できる情報」の判別を誤り、うまく問題解決ができないことがあります。これは「フレーム問題」と呼ばれていて、パズルを例にとると簡単に理解できます。本来「留意すべき情報」を、無意識に「無視できる情報」というフレーム(枠)に入れてしまうことにより、パズルを解くことが困難になります。
私が大学院時代に認知科学の講義で知った問題に、「9点問題」というものがあります。これは認知科学について簡単に説明する際にとても便利なので、今でもよく話のネタに使っています。
私はこの問題をこれまで出会った多くの方々に出題してみましたが、初めての挑戦で、3分以内に正解にたどり着けた方は思い出せません。この問題を解こうとする人は、勝手に(無意識に)ある制約をつくってしまい、それがジャマをして問題を解くことができなくなるのです。自分で不要なフレームをつくってしまうのですね。
この9点問題の解答は記載しませんので(有名な問題なので、インターネットで検索すれば答えはすぐに見つかります)、初めて見た方はぜひ挑戦してみてください。
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以上、『品切れ、過剰在庫を防ぐ技術』(光文社新書)を一部改変して掲載しました。
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