洗脳系女子の威力【第11回】
辛酸なめ子『新・人間関係のルール』

価値の切れ目は縁の切れ目?

 

権力者や有名人に取り入って、いつしか意のままに操るようになり、恩恵を享受する……そんな女性をたまにニュースや周りの話で見聞きすることがあります。

 

そんな洗脳系女子は、相手をコントロールし、利益を享受し、もう利用価値がないとわかったら、あっさり断捨離するドライさも持ち合わせています。価値の切れ目は縁の切れ目です。恋愛がらみとは限らず、友人や仕事関係でも起こりえます。

 

私も時々、人に親切にしていたら利用されるだけされて去って行かれる、という体験をしますが、なかなか精神的なダメージが大きいです。フリーでやっていたり、孤高の存在だったりで、心の奥底に孤独感を抱いている人が出す波動を敏感に察知する洗脳系女子。

 

大御所を籠絡し、コントロールするスキル

 

最近だと、某大物芸人さんの愛人女性のニュースが印象的でした。

 

愛人女性が、大物芸人の長年のスタッフを次々と解雇したり、作品を売ってお金にしようと画策したり……まだ真偽がわからない部分もありますが、大御所を籠絡しコントロールするスキルに畏れ入ります。

 

彼女は、出会いの時、その芸人さんを知らなくて、それに芸人さんが逆に感動したとか。

 

それは洗脳系女子のあるあるテクニックです。超有名人と会っても相手を知らないフリをすることで、イエスマンだらけの著名人な新鮮に印象を与え、心を許せる存在になっていくという……。

 

崇められる存在の人は、その威光を意に介せず、ちょっと生意気にアプローチされるのが嬉しいものです。

 

ある実業家が、美人モデルに「もっとタメ口で連絡してきていいから」と話しているシーンを目撃したことがありました。でも、生意気なだけではダメで、Aさんのように靴下をはかせてあげるとか、奉仕と操作を適度に混ぜると籠絡度が高まります。

 

ズブズブに洗脳される

 

また、海外に目を向けると、ハリー王子と結婚したメーガン妃もあやしいです。

 

実は子どもの時から英国王室に憧れていたのに、ハリー王子と出会った時は、王室なんてほとんど知らない体を装ったとか。

 

常套手段に一瞬でやられたピュアなハリー王子。

 

笑顔の裏はクールで、利用できない人間とは次々縁を切るので、人間関係を断捨離することが「メーガンする」という動詞になったと前回も触れさせていただきましたが、とにかくサセックス公爵夫人は油断ならないです。

 

年間一億円以上の衣装代を使いまくり、アシスタントやナニーがメーガン妃に耐えかねて次々辞めていくという噂も。

 

そして仲が良かったウィリアム王子とヘンリー王子の関係まで雲行きが怪しく……。

 

洗脳系女子の特徴の一つに、周りの人との縁を切らせて、自分との関係に囲い込む、というものがあります。そしてターゲットを自分に依存させるようにするのです。ちょっと前の例だと朴元大統領と親友の占い師の女性の関係も、ズブズブに洗脳されている感じでした。

 
敏腕編集者から聞いた恐ろしい話

 
ちょっと前に敏腕編集者の女性から聞いた恐ろしい話があります。

 

「これまでに何人も、マネージャー志望の女性に搾取された作家さんや漫画家さんを見てきました。忙しくて大変そうな人が狙われます。彼女たちは半分は親切心からかもしれませんが、その人のため、というフリをしてきて近付いてきます。その作家や漫画家をコントロールすることで快感を得るようになっていくんです。例えば打ち合わせ後、あの編集者は信用できないとか言って、信頼関係を危うくさせます。そしてますます自分に執着させるんです」

 

そこに同席していた有名イラストレーターの女性も、ちょうどそんなヤバい人にマネージメントされて大変だったそうでした。

 

「最初は腰が低かったんですが、だんだん自分の方が上、という態度になってきました。秋元康を今度紹介する、とか実体のない人間関係をアピールしてきたり。気付いたら脚を組んでタバコを吸うようになって態度が悪化し、それに気付いた周りの友人が睨んだりしていたようです」

 

彼女は適当なデマを流したり、スピリチュアルを悪用して「あの人のオーラは良くない」と、イラストレーターさんの知人について忠告してきたりしたそうです。

 

「私的にはあの人はNGです」と、長年の編集者について言ってきて、疎遠にさせようとしたり。そして自分に多くの取り分がいく契約書を作ってきたころから、どうもおかしいと思うようになり、仕事の関係を切るに至ったそうでした。本性に気付いて無事に縁が切れて良かったですが、多くの人は洗脳系女子に吸い取られてしまうそうです。

 

「勝手に印税契約がその中間の女性に何%か払われるようになっていたり、月100万振り込まされたケースも。彼女たちはお金がありそうなところを敏感に嗅ぎ分けますが、作家さんや漫画家さんが落ち目になると去っていくんです」

 

相手に精神的に依存させられてから去って行かれるとは、かなり辛いものがあります。

 

そうならないうちにヤバそうな人とは距離を置いておきたいです。

 

洗脳女子の特徴

 

私自身も、ほぼ当てはまる洗脳系女子の接触を経験したことがあります。

 

・最初はフレンドリーで親切そう
・次第に上から目線でアドバイスしたり指示してくる
・マージンや連絡先を中間で握りたがる
・間に入って人間関係をややこしくする
・有名人との縁をアピールするけれど、よく聞いたらSNSをフォローしているだけだったり実体がない

 

などが特徴ですが、私も最初は親切そうだと思って心を許し……気付いたら始まってもない仕事のマージンの話をされたり、主語が「私たち」になっていたり、危険なものを感じていました。

 

極めつけは、打ち合わせに同席していてその会議中、何の脈絡もなく私に「怖がらないで!」と大声でアドバイスしてきたことです。

 

私はその時特に怖いとか感じておらず、普通に打ち合わせていただけなのですが、彼女はそうやって叫ぶことで自分の方が上の立場で、この女性は自分の言う事を聞く関係だと周りにアピールしたかったのでしょう。

 

ちょっと恐怖を覚えたので、少しずつ距離を置いてことなきを得ました。

 

たまに連絡が来たらとりあえず「ありがとうございます!」とお礼を書いて相手の優越感を刺激しつつ、具体的な日時や行動は表明しないで乗り切っています。また、仕事がいまいちだとかこちらが落ちぶれ感を出すことで相手から去っていくようにしむける、という方法もありそうです。人によってプライド的に抵抗があるかもしれませんが……。

 

悪魔のシワザ?

 

先日、あるエクソシストの方に話を聞く機会があったのですが、そうやって人を洗脳し取り込んで周りと疎遠にさせる人は、悪魔がとりついている場合があるとか。もしかしたら彼女たちも純粋だったりスキがあったから魔に入られてしまったのかもしれません。悪魔の所業ならしかたないです。こちらも毛嫌いせず、相手の幸せと安寧を祈りたいです。

 

【今月の教訓】
自分以外全員敵だと思い込ませようとする洗脳系女子。古い友人知人との関係を大切に……。

 

新・人間関係のルール

辛酸なめ子(しんさんなめこ)

1974年東京都生まれ。埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。女子学院中学校・高等学校を経て、武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。恋愛からアイドル・スピリチュアルまで幅広く執筆。著書に『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)、『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)など多数。
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