akane
2019/04/08
akane
2019/04/08
Genre: Punk Rock, Rock, Reggae, Ska, Rockabilly, New Orleans R&B, Pop, Jazz
London Calling – The Clash (1979) CBS, UK
(RS 8 / NME 39) 493 + 462 = 955
Tracks:
M1: London Calling, M2: Brand New Cadillac, M3: Jimmy Jazz, M4: Hateful, M5: Rudie Can’t Fail, M6: Spanish Bombs, M7: The Right Profile, M8: Lost in the Supermarket, M9: Clampdown, M10: The Guns of Brixton, M11: Wrong ‘Em Boyo, M12: Death or Glory, M13: Koka Kola, M14: The Card Cheat, M15: Lover’s Rock, M16: Four Horsemen, M17: I’m Not Down, M18: Revolution Rock, M19: Train in Vain
※オリジナル・ヴァージョンのアナログ盤では、スリーヴにもレーベルにもM19の曲名記載はなかった。盤の最後、針がレーベルに向かっていくランオフ・エリアの空白部に、英文の曲名が手彫りで刻み込まれていた。
影響度という点で観察してみた場合、パンク・ロック史上最強と言うべき1枚がこれだ。ザ・クラッシュの3作目のスタジオ・アルバムである本作『ロンドン・コーリング』は、本国イギリスはもちろん、アメリカの音楽シーン内外の広大な範囲を、永遠に変えてしまうほどのインパクトを与えた。その証拠のひとつが「えこひいき」と言うほかないほどの、〈ローリング・ストーン〉による本作への「愛」だ。
たとえば本作は、〈ローリング・ストーン〉が選ぶ「最も偉大な80年代のアルバム100枚」ランキング・リスト(89年制作)の1位に、堂々輝いた――「えっなんで?」と、ぜひここで読者のかたは突っ込んでいただきたい。なぜならばクレジット欄にあるとおり、本作のイギリスにおけるオリジナル・リリースは「79年」の12月14日だからだ。79年は70年代だからだ。だがしかし〈ローリング・ストーン〉側の主張(言い訳?)としては、本作のアメリカ盤は年をまたいだ「80年」の1月に発売された、だから「ランキングの対象となった」とのこと、なのだが……まあ「それほどまでに」本作はアメリカのロック・ファンに「愛された」ということだ。
77年のデビュー作(当リスト34位)は同時発売すらされなかった(一度お蔵入りにされて、2年落ちになった)ほどにも無理解だった、あの国で。
クラッシュがここまで明確に「アメリカで勝利できた」最大の理由は「音楽的豊穣」への評価だ。その豊かさは、本作の充実ぶりではっきりと表面化した。パンク・ロックなのに、バラエティに富んだ「聴きごたえのある」ナンバーばかりが、綺羅星のごとく並んでいる。その象徴がタイトル曲のM1だ。暗雲立ちこめる終末の冬のような景色のなかを、行進曲みたいに突き進んでいくこのナンバーは、パンク・ロックの意味を再定義した。「パンクな精神、美学をもって構築した」音楽こそがパンク・ロックなのであって、ラモーンズのような「単一の音楽スタイル」のみを信奉する「だけ」がパンクなのではない――彼らがここで実証したのは、ある種コペルニクス的転回を果たしたあとの「新しい」パンク・ロックの考えかただった。
(後編に続く)
※凡例:
●タイトル表記は、アルバム名、アーティスト名の順。和文の括弧内は、オリジナル盤の発表年、レーベル名、レーベルの所在国を記している。
●アルバムや曲名については、英文の片仮名起こしを原則とする。とくによく知られている邦題がある場合は、本文中ではそれを優先的に記載する。
●「Genre」欄には、収録曲の傾向に近しいサブジャンル名を列記した。
●スコア欄について。「RS」=〈ローリング・ストーン〉のリストでの順位、「NME」は〈NME〉のリストでの順位。そこから計算されたスコアが「pt」であらわされている。
●収録曲一覧は、特記なき場合はすべて、原則的にオリジナル盤の曲目を記載している。
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