akane
2019/03/05
akane
2019/03/05
“酒つま戦記”のようなものを書いてみることになった。
“酒つま戦記”の“酒つま”というのは 今から16年以上前、2002年10月に創刊した雑誌『酒とつまみ』の略称で、言い出しっぺは編集部の誰なのか、あるいは、読んでくれた方たちなのか、そのへんはまるで覚えていない。
とはいえ、約半年後の2003年4月に開設したホームページのURLは「saketsuma.com」なので、当時、編集部内で何かしらそんな略称が当たり前になっていたのかもしれない。
この『酒とつまみ』、吹けば飛ぶよな千鳥足会社「酒とつまみ社」から発行され、“酒飲み人生謳歌マガジン”というコンセプトがあったりするものの、編集部一同、それがどんなモノなのか、これまた、言い出しっぺが誰なのか、いまだに理解できていない。
そんな誌面には、『酒とつまみ』と言いつつも、酒とつまみに関する有益な情報やウンチクなどが出てくることはほとんどなく、だいたいがヨッパライのバカ話で、たとえば、創刊号と第11号に「第1回ゲロ自慢座談会」と「帰ってきたゲロ自慢座談会」、第7号から始まった「酒飲み川柳」では、
「吐く君の 背中さすれば もらいゲロ」
とか、
「吐瀉物を 集めてはやし 神田川」
とか、
「俺はゲロ 青空球児は ゲロゲーロ」
とかいったモノが掲載されている。
おまけに、泥酔して気持ち悪さを察知しては瞬時にトイレの個室に飛び込み、便器に向かって的確な角度で腰を折り、的確な角度で右手人差し指と中指を喉奥まで差し込み、自動的に吐くことをマスターしてから、
「これがホントの、嘔吐マチック!」
などと自画自賛している身からすると、いっそのこと、“酒飲み人生嘔吐マガジン”に差し替えても大して違和感がないような気もする。
で、“酒つま戦記”の“戦記”。
ここでようやく言い出しっぺの出番がやってきたというか、『酒とつまみ』創刊のきっかけを作ることになった立場としては、企画やら制作やら販売やら何やらの“戦いの記録”のようなものを書ければいいものの、そうは言っても、いったい我々は何と戦ってきたのだろうか。
“戦記”にうってつけの勇ましい話はとても思い浮かばないけれど、ムリヤリ挙げるとすれば肝臓か。
もともとみな酒好きではあったものの、『酒とつまみ』が創刊してからというもの、会議と言っては飲み(途中から会議にならなくなるけれど……)、企画の実行と言っては飲み、インタビューと言っては飲み、何もなくてもやっぱり飲む……。
そらもう、前世で肝臓からひどい仕打ちを受けた恨みを晴らすかのごとく飲み続けていたので、ある意味、それはそれで戦いだったのかもしれない。というか、前世で肝臓から受けたひどい仕打ちって何だろう?
なのでまあ、“酒つま戦記”などと銘打つのはさすがにおこがましく、いまだ次号発行のメドが立たない『酒とつまみ』を作ってきた中で、編集部一同はもちろん、酔っ払ったばかりになんやかやバカなことをやらかした“酒バカ”の皆さんのことはずいぶん見てきたので、そのへんのことを備忘録的に書いてみるぐらいがちょうどいいのかなと思う。
というワケで、これは“酒バカ備忘録”のようなものである。
といいつつ、いつしか“酒バカ尾籠録”になってしまったらごめんなさい。
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