akane
2018/12/13
akane
2018/12/13
現在、テレビでは数多くの料理番組が放送されています。特に有名なものとしては、NHK『きょうの料理』(1957年放送開始)が60年以上前に始まった老舗の大看板。続いて歴史が古いのは日本テレビ系列『キユーピー3分クッキング』(1962年放送開始)。このふたつの番組のテーマソング、口ずさめる人も多いでしょうね。
またテレビ朝日系列では『おかずのクッキング』(1974年放送開始)が40年以上続く長寿番組。同系列では『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』(1995年放送開始)も息の長い人気番組です。そのほか、朝夕の情報番組でも料理コーナーは必須のごとく放送されています。
全部とは言いません。ランダムでも構わないので、これらの番組のうちいくつかを録画して、見られるときにチェックしてください。熟視する必要はないんです。ながら見でも構いません。
そうすることで、あなたはたくさんの料理家や料理人と出会います。きっと「こんなにも料理研究家っているのか!」と思うでしょう(本当に、数え切れないほどいます!)。その料理家の中から、あなたが「この人の料理、おいしそう」と思えた人をリストアップしてください。気になる人の名前をメモしてください。選ぶ基準は、料理だけでなく「なんかこの人の雰囲気や話し方、いいな」でも構いません。もうシンプルに「顔がタイプ」だっていいんです。
みなさんは何か新しいことに興味を持ったとき、誰かのファンになったことで一気にハマり、その世界に詳しくなったことはありませんか。
たとえばあまりスポーツには興味なかった人が、誰かのファンになったことで観戦するようになり、細かなルールはもとより業界のことにまで詳しくなるなんてこと、ありますね。たとえば私の周囲では、羽生結弦選手のファンになったことでフィギュアスケート界にドハマりし、解説要らずでルッツやトゥループといったジャンプの種類までも瞬時に見分けられるようになった人が少なからずいます。
料理に関してもこういう効果、期待できるんです。
ただ漠然と「料理できるようになりたい」という思いで料理番組を見ても、結局は「おいしそう」「でも、難しそう」程度の感想で終わってしまいがちです。まずは料理家で、ファンになれそうな人を見つけてみませんか?
結局人間は、興味のない人に指導されてもなかなか頭に入ってこないんですね。料理の内容いかんではなく、「見かけが好き」「話が面白い」「なんとなくキャラが好き」……そんな理由で充分です。「あの人の料理が作れるようになりたい」という思いが発生しだしたら、しめたもの。これまでの取材を通じて感じているのは、ファンになれる料理家を見つけたことで、結果的に技術を早く身につけたビギナーさんはとても多いということです。
まずはテレビで、いろんな料理家と出会ってほしいのです。
そして、料理番組をチェックするうち、みなさんは多くの料理も知ることになります。同時にその調理過程を目にすることで、なんとなくでも「これなら自分でもできそう」と思うこともあるでしょうし、「こんなのは私には無理」とも思うでしょう。
「この人の料理はすごくシンプルで、私もできそうだ」
「昔ながらのお惣菜料理がこの人は得意なんだな。せっかく始めるなら、きっちりと和の調理法を学びたい」
「盛りつけがきれいだなあ。やるならば、SNSで褒められるようなビジュアルの良い料理が作れるようになりたい」
「あ、うちの親の料理にちょっと近いような。懐かしい。こういうの作れたらいいな」
「この先生は和・洋・中となんて幅広く作れる人なんだろう。すごい……!」
「へええ、40代から料理を始めてテレビで教えるまでになったのか。私とスタートラインは一緒なんだな。興味ある」
料理番組を見るうち、みなさん様々な感想を抱かれることと思います。料理番組が伝えるのは、料理のレシピとプロセスだけではありません。料理する人、それぞれのヒストリーや人間性、何よりも料理に対するスタンスや哲学を感じ取れると思います。
テレビは人の「素(す)」を映し出すもの。おのずとその先生の人柄は伝わってきます。ぜひぜひ、相性のよい方と出会ってください。あなたが共感することのできる料理家と出会えたとしたら、もうその時点で自炊力は一段階アップしたも同然です。
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