akane
2018/12/18
akane
2018/12/18
世界10ヶ国のべ100万人以上が感動した“ほめ育”と、幼稚園・保育園・こども園で3700回以上の講演・研修の実績を持つ幼児教育のプロが生み出した“究極の子育てメソッド”として話題の書籍『最上のほめ方』(12月刊)より、子育てに役立つヒントをご紹介。
同書の著者・幼児活動研究会/日本経営教育研究所所長の八田哲夫さんいわく、「世界基準の子を育てるためには『家訓』が必要」とのこと。その真意とは?
私は30年以上幼児教育の現場に携わっており、海外での講演も多いです。そんな中で多くのお子さんを見て感じるのは、「どんな育児を目指すにせよ、すべての基本は『家庭』である」ということです。
「家訓」というとかたっ苦しい印象を持たれるかもしれませんが、「その家に伝わる、守るべきものや戒め、教え」のことであり、簡単にいえば「我が家のルール」です。
例えば、
・自分から挨拶をする
・いつでもどこでも靴を揃える
・約束を守る
・早寝、早起き、朝ご飯。規則正しい生活をする
・自分の使ったものを元に戻す(整理整頓)
といった、親子で守りたいルール、家庭で身につけさせたい生活習慣のことを指しています。
こういったことを、ご夫婦や、家庭全体で話し合い、「我が家のルール(家訓)」として確認することが、実はとても大切なのです。
ご家庭で話し合い、ルールを決め、家訓として掲げる。それがなぜ大切なのか?
理由を一つ上げるならば、家訓を作ることで、育児で迷うことが格段に減るからです。
私は仕事柄、多くの保護者の方から質問や相談を受けますが、親の側に「どう育てたいか」という軸が無いから起こっている悩み、というのが多いのです。親御さんの中に『この子をこう育てたい』という軸がないと、様々な局面で「うちの子、どうすればいいのかわからない」となってしまう。
今の親御さんは、基本的に情報があふれている世界で育った人たちです。たくさんの情報に簡単にアクセスでき、「問題が起きても、調べればすぐに答えを得られる世界」で育ったことに思い当たるでしょう。
しかし、この「調べればすぐに答えが出ること」への慣れが、今の親世代の子育ての悩みをより深刻にしてしまっているように見えるのです。
子育てをするとき、どうしたらいいかがわからない一番の理由は、親の側に「この子をこう育てたい」という軸がないからなのですが、情報にアクセスし慣れている親御さんほど、子育てという正解のない問題に答えを求め、解決策を使えばすぐに結果が出ると思い込んでしまっているのです。先に申しておきますが、“我が家の育児”の答えは、いくらよそを調べてもでてきません。ご家庭で話し合い、我が子と向き合い、手探りしながら作りだしていくものだからです。
講演会でも、お母さんたちから「うちの子、どうしたらいいですか?」「AとBのどちらをやらせるのが正解ですか?」という質問がかなり増えてきました。
本を読んだり講演会で子育てについて勉強をするのは、親としてとても素晴らしいことです。ですが情報はあくまでも情報として考え、見るべきは目の前の現実の我が子でないといけません。我が子と向き合い、どのような大人に成長してほしいかを家族で考え、より身近なルールとして、家族で確認し合うことが大切です。
「よそで調べても答えがでない」という育児の迷い(時に無限のループのようになります)を減らすために、我が子と向き合いご自身の家庭を見直す作業――、家訓を作ることが実は効果的なのです。
家訓のメリットはほかにもあります。
家訓があれば、子どもをほめる時、叱る時の基準になります。基準がしっかりあれば、むやみに叱ることもなくなるでしょう。
そしてこの基準を親子で守ることで、人として正しい生き方を身に着けることができます。親として、一本筋の通った姿勢を見せることもできます。
家訓を掲げることでルールが明確になり、また親が手本となることで、幼いお子さんにも、善い行い・悪い行いが分かりやすく伝わるでしょう。
子ども達が大きくなる頃には、今以上に国際化が進み、世界中の人と接点を持つ必要が出てきます。そのときに、他の国の人が「この人について行こう」と思うリーダーシップと「この人と接点を持つと楽しい」というコミュニケーション能力を身に着けたお子さんは、きっと世界を相手にうまくやっていけることでしょう。
「別に世界基準の成功だけが子育てのゴールではない」という方も多いでしょう。私も同感です。国内で、地元で、その子なりの幸せを築く生き方ができれば、なによりですよね。
ただ私は、世界を目指す子育てでも、そうでない子育てでも、お子さんが世の中を渡っていくときに必要な能力はそう変わらないと考えています。
自立心、リーダーシップやコミュニケーション能力、これらは人間関係の基本です。
子ども達は幼稚園・小学校・中学校・高校といった集団生活の中で、対人関係を学びますが、土台となるものは家庭で身に着き、養われます。
子育てに関する情報が氾濫する今だからこそ、我が子にどう育ってほしいのかを明確にした「家訓」が必要だと、私は強く思うのです。
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