akane
2018/04/03
akane
2018/04/03
相談したいことが4つあります。
1つ目は、2歳7カ月の息子が発達についてグレーゾーンと言われたことです。それもこの子の個性だと思うようにしていますが、「なぜこの子が……」という思いも拭えません。この子にとってどうしてあげるのがいちばんなのか、わからなくて悩んでいます。
2つ目は、主人がときどき暴力をふるうこと。口ゲンカだと私が勝つので、つい手が出るようです。子どものことはとてもかわいがってくれるのですが、私が育児で手一杯で、家事にまで手が回らないことを理解してくれません。離婚したくはないのですが。
3つ目は、子どものころに父親から性的虐待を受けていたような気がすることです。ほとんど記憶はないのですが、当時、夜寝ているときに父が来るのが怖くて眠れませんでした。父のことは大好きですし、自分の勘違いかもと思うこともありますが、誰にも相談できず、ただただ悩んでいます。
4つ目は、主人と出会う前につき合っていた外国人の彼が忘れられないことです。あれほど愛された記憶はないくらい、彼のことが大好きでした。ただ事情があって結婚できず、彼に黙って中絶もしました。別れてもう8年経つのに、会いたい気持ちが抑えられず、毎日を悶々と暮らしています。
たくさん相談してごめんなさい。いつかまさよさんにお会いしたいと切に願っています。
大変なお悩みを抱えていらっしゃいますね。昔の彼が忘れられないのは、いまのその苦しい状況から逃げ出したいからだと思います。順番にお答えしていきましょう。
まず、お子さんについて、発達障害というのは診断がつきにくく、幼ければ、幼いほどわからないものです。
「癇癪がすごく、偏食があって、言葉が遅い」とメールに書かれていますが、いまは、決まったものしか食べないとか、自分のなかのルールどおりにしか行動できないといった、お子さんのこだわりの強さをあなたができるだけ寛容に受け止めてあげてください。こだわりをなくそうとついつい思ってしまうかもしれませんし、癇癪を起こされると途方にくれるかもしれませんが、できるだけ見守るというよりも、見届けてあげてください。
癇癪を起こしてもお母さんが顔色ひとつ変えずに治まるのを待っていると、どのお子さんでも「あ、無駄だ、止めよう」となります。それは大きくても、小さくても、仮に成長が他の子どもさんよりもゆっくりしているお子さんでも同じです。
そうしているうちに、お子さんのクセというか気の逸らし方が母親はわかってきます。
あとは2人の時間を楽しんでください。多動で目を離すと大変かもしれませんが、お子さんは水が好きなようなので、川に連れて行くなど、自然の刺激を与えるといいでしょう。「ほら、チョウチョが飛んでいったよ。お魚が泳いでるね」などと言葉をかけながら。全然聞いていないようでも、その言葉は心のどこかに届きます。
そして沢山歩かせてあげてくださいね。子どもは沢山歩くことで、体の疲労が、体のバランスやリズムを整えてくれます。また可能なら、幼稚園でも保育園でも、この子の成長に合わせて手をかけてくれる保育士さんがたくさんいる園に入れてあげましょう。
あなたの「なぜ私だけが・・・」というお気持ちはわかります。でもね、子どもって早いか遅いかの違いだけで、どこかの時期に親を困らせるものです。それが大人になってからなのか、いまかの違いであなたの場合は、いまなのだと思ってくださいね。
2つ目のご主人については、彼にしてみれば「自分は仕事で疲れているのに、どうして家事まで手伝わなきゃいけないんだ」という気持ちなのでしょう。でも、あなただって子育てで疲れ切っているのですから、家事にまで完璧を求められても困りますよね。そこは上手に、ケンカをしたときではなく、ふだんの会話のなかでさりげなく、ご主人を怒らせないように穏やかに、「私も大変なのよ」と言ってみましょう。あるいは機嫌のいいときを狙って、1日お休みをもらうのもいいかもしれません。ご主人に家事と子育てを体験してもらうと、意外と疲れて大変なことがわかってもらえるのではないでしょうか。そのときには「ね、大変でしょ」ではなく、「ありがとう」の一言を忘れずに。
3つ目の性的虐待については、お父さんが何を思ってあなたの布団に入ってきたか、はっきりさせる必要はないと思います。お父さんも寂しくて、またあなたが愛おしくて、いっしょに寝たいと思ったのでしょう。ちょっと体を抱きしめるとかくらいのことはあったかもしれませんが、いわゆる肉体関係はなかったはずです。それでも子どものあなたにとっては、さぞかし気持ちの悪い怖いことだったと思いますが、いまさら父親を問い詰めないであげてくださいね。
親子ですから白黒はっきりさせたところで、何も良いことなどありません。
大人の男の人に抱きしめられると、子どもは無意識に心の奥でなんとも言えない怖さを覚えるものです。
それが性が何かを知らない子どもでも、理屈ではない無意識の怖さというのを感じとってしまいます。それは他人ならば尚のことですが、時に父親でも同じように感じてしまうものです。
そして4つ目は、昔の彼の話。結論を先に言えば、その外国人の彼と結婚しなくてよかったんですよ。彼とは過去生でも出会っているから、無意識のうちに因縁を感じ、ダメな男とわかっていても何となく離れられない気分になるのでしょう。でも今生、あなたは彼との関係をきっぱり終わらせるために、彼と出会ったのです。
いくらあなたが相手に黙って中絶したとはいえ、それを知って怒って国に帰り親の勧める人と結婚したことは、不誠実にもほどがあります。しかもその奥さんを国に置いて、また日本に来てあなたとの関係を続けたのでしょう? はっきり言って、ひどい男です。
あなたはどこかでわかっていますよね?「彼とやり直しても幸せになれるわけはない」と本当はわかっていますよね? ただお子さんやご主人の問題があって、もっと幸せになれたのではないか?と現実逃避をしたいだけなのです。昔の彼を使って、「もし別れなければ、別の幸せな人生があったんじゃないか」と“妄想的メロドラマ”をつくりあげているのです。
それから、赤ちゃんを中絶したこと、きっと呵責で心痛めているかと思います。けれどどうか気に病まないでくださいね。お腹の赤ちゃんというのは生まれたくてお母さんのお腹に来るとは限らないのです。あなたの場合、お子さんは彼と別れるきっかけをつくるために来てくれたのです。お子さん的にはそれで立派にお役目を終えているのです。「生んであげられなくてごめんなさい」という気持はちゃんと伝わっています。それで十分です。それ以上、そのことで自分を縛らないようにしてくださいね。
ちょっと長くなってしまいましたが、以上が私の答えです。あれこれ思い悩まず、お子さんとご主人を信じて、愛して、いまのご家庭を大切にしてください。
いろんな悩みから逃避するために、昔の恋人を利用してはいけません。
幸せというのは、いま抱えている悩みのなかに潜んでいます。
そこに気づいて初めて、悩みから解放されるのです。
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