神が宿る三輪山と「三ツ鳥居」―――日本の8大聖地・大神神社
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日本では土着の信仰である神道のほかに、朝鮮半島や中国から仏教がもたらされ、多くの聖地が生まれた。参拝客が絶えない「開かれた聖地」がある一方、「封印された聖地」もある。パワー・スポットとも呼ばれる聖地には、一体どんな秘密があるのか。その謎に迫る。

 

山全体が神さま

 

 

大神(おおみわ)神社の創建は紀元前とされている。古代のことであるから、たしかな年代を定めることは難しいが、大神神社のことは『古事記』や『日本書紀』などにも登場し、相当に古い時代から存在したことは間違いない。

 

通常の神社では、拝殿の奥に本殿があり、本殿には「ご神体」が祀られている。ところが大神神社の場合、拝殿はあっても本殿はない。本殿のあるべき場所には三輪山があり、この山全体がご神体とされている。三輪山は神の宿る「神体山」なのである。

 

拝殿からは見ることができないが、その奥には「三ツ鳥居」と呼ばれる大神神社独特の鳥居がある。一番上の笠木が反っている明神型の三つの鳥居を組み合わせたもので、この形式自体が「三輪鳥居」と呼ばれる。このの先は「禁足地」とされ、足を踏み入れることが禁じられている。封印されることによって、その神秘性は高まっているように見える。

 

大神神社の左手にはいくつか摂社や末社があるが、そのうちの一つに狭井(さい)神社がある。その狭井神社の脇が三輪山への登攀(とうはん)口になっていて、そこから山頂まで行くことができる。山に入る人は入山料を支払って参拝証となる木綿襷(ゆうたすき)を受け取り、それをかけて自ら御幣をもって御祓いをし、登攀していく。

 

三輪山の中にある中津磐座や奥津磐座は、撮影だけではなく、スケッチさえ禁じられている。雑誌のルポなどで三輪山に登ったレポーターがいても、山のなかのことはイラストにも描かれていない。

 

だが、まったくそれが存在しないわけではない。その知られざる秘密とは――。(続きは本で)

 

以上、『日本の8大聖地』(島田裕巳著、光文社知恵の森文庫)の内容を一部改変してお届けしました。

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