健康に「高価な食品・特別な運動」は必要ナシ! 医師が教える、科学的根拠のある食品ガイド
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agarieakiko

2019/03/05

 

『1分でも長生きする健康術』(大津秀一・著)は医師が提唱する“今日から・誰にでも・簡単に”できる、科学的に証明された「食事」×「運動法」をまとめた一冊だ。

著者はベストセラー『死ぬときに後悔すること25』などを代表作に持つ、現役医師で作家の大津秀一先生。大津先生は緩和医療医としてこれまで2000人以上の看取りの場に立ち会い、「後悔しない最期には、後悔のない健康法が必要だ」と痛感し、本書の執筆に至ったという。

 

同書で大津先生は、「高価な食材や特別な運動法は、健康には不必要だ」と訴える。
巷にある“効きそう”な食品やノウハウの数々……、医師からはどのように見えているのだろう? 大津先生に解説してもらった。

 

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最初にお断りしておきたいのですが、私は書籍『1分でも長生きする健康術』執筆にあたり、いかなる製薬企業、健康関連食品等販売企業、医療器具メーカーなどから、一般的な利益相反申告基準(年50万円以上)の報酬等を受け取っていないことを、ここに明記いたします。

 

このようなことを明示できない著者の情報は、まず疑ってかかる必要があります。

 

その上で、健康のために気をつけるべき食品や運動法について、話を進めましょう。

 

科学的根拠のある「摂取したほうが良い食品」は、そう多くない

 

巷には様々な“健康に効きそうな食品”があり、「コレを食べれば若返る、病気にならない(または病気が治る)」といった印象を与える宣伝文句で彩られています。

 

ですが、科学的根拠に基づく食品のガイドをしようとすると、紹介できる食品はそこまで多くはないのです。詳細は書籍(『1分でも長生きする健康術』)に譲りますが、大まかに申し上げると次のものになります。

 

□食物繊維
□野菜と果物
□穀物
□ナッツ
□魚
□油
□肉
□乳製品
□酒
□コーヒー
□葉酸

 

これらについては、科学的根拠のある摂取の一応の目安をあげることができますが、ランダム化比較試験(※科学的根拠の高い試験です)が豊富とは言いがたいものもあります。メジャーな食品・食品群ではありますが、日々の食事については、薬などとは違い効果幅が大きくなく、また短期間に結果が出ることはあまりないですから、検証しにくいのです。

 

トクホ=科学的根拠が強い、ワケではない

 

それなのに、「治る」とか、「元気になる」とか称しているものはいかにいかがわしいかということです。

 

知名度の高いトクホ(特定保健用食品)や健康飲料、サプリ類についても、例えばトクホは消費者庁の一定の基準はクリアしていますが、それが科学的な根拠が強いことを示しているわけではありません。

 

しかも、医学の世界では、本質的な結果で評価します。

 

例えば、A飲料を飲み、飲んだ群と飲んでいない群を比較して、飲んだ群では血圧が高くなかった……めでたしめでたし、ではありません。

 

本当にその人の命や健康にかかわる重大な事象で、医学的な試験は評価します。

 

例えば両群で脳血管疾患や冠血管疾患の多さを比べると、差がないかもしれないのです。

 

だとすると、飲んだ群では単に血圧が低くなっただけで、本質的な健康にはなんら変化はなく、お金だけかかったということになります。

 

「大したことのない」内容でさも著効したように表示される場合もあるので、注意が必要です。

 

正直、考える必要のない食品もたくさんある

 

このように書くと、「じゃあ、巷で売られている高価な食品には、効果はないのか?」という声が聞こえてきそうです。書籍執筆にあたり、編集部からは最近知られている食品等について質問をもらいました。

下記の食品などは、健康にどのくらい影響があるのか……という質問です。

 

【よく宣伝もされており一般に高額な商品】
高カカオ、マヌカハニー、スーパーフード類(チアシード・アサイー・キヌアほか)、ココ
ナッツオイル、水素水、青汁など

 

【身近にある食材を組み合わせることでできる、安価な商品】
水(フルーツウォーター・デトックスウォーターなど)、ミネラル麦茶、ハーブティー、紅茶、グリーンスムージー、ホットヨーグルト、フルーツグラノーラなど

 

書籍内で、私はこれらの商品について「正直、考える必要はない」としています。

 

(1)科学的な根拠の水準が高いランダム化比較試験やそれらの統合の結果として、(2)直接的な健康に関係する指標で「効果がある」(例えば、病気が減った等)とされているものが乏しいのが、その理由です。

 

「好き」や「実感ある」と、「効果がある」は別モノとして判断を

 

そもそも食品は1つでそこまで強力な効果幅を持っているわけではないので、また一年程度で生命や健康に直結する効果が出るものでもなく、ランダム化比較試験で本質的に意味のある結果を出すのが容易とは言いがたいです。

 

上に挙げた「考える必要はない」とした食品について、もちろん経済的に問題がなければ、やって悪いというわけではありません。

ただ、「好き」とか、実感とか、それとは別に効果に関しては厳密に判断されなくてはいけません。

もっとも普通に考えて、生体の要である三大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)などと比べて、優先すべきものとは考えられません。

 

健康になる近道は、冒頭でお伝えしたようなメジャーな部分から大切にしてゆくことをお勧めします。

 

(この記事は『1分でも長生きする健康術』大津秀一著 を基に作成しました)

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2000人の終末期患者を診療した医師が教える  1分でも長生きする健康術

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大津秀一(おおつしゅういち)

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