中小企業のオーナー社長って実際どんな人なの?その実態を探る(前編)
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日本にある会社の99・7パーセントは中小企業である。その多くが抱えている問題が「後継者不在」。社長は高齢化しているものの引き受け手のいない会社が、日本には127万社も存在する。世はまさに「大廃業時代」を迎えています。
会社という、人脈やノウハウ、ブランドを持つ「資源」をリサイクルし、未来へ繋ぐ。自らも安定した収入を得て、一国一城の主として自由を手に入れる。個人が幸福なキャリアを追及することで勝手に社会課題の解決に繋がる「事業買収」を、「社長のおくりびと」の異名を持つ事業承継コンサルタントが伝授する光文社新書『0円で会社を買って、死ぬまで年収1000万円』が刊行されました。
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ここまで会社のステイクホルダーを見てきましたが、続いては、そんな小さな会社のオーナーであり、経営者でもある社長について考察してみましょう。

 

みなさんは、社長という言葉からどんな人物像を思い描きますか?

 

私は、この仕事で深く社長と接するようになる前までは、威厳があったり、ものすごく仕事ができたり、そして他者に厳しかったり、どちらかといえば怖い人を想像してビクビクしていたことを思い出します。でも、実際は人の好い方が大半だと感じています。

 

会社の引き継ぎ交渉をするならば、主に60歳から75歳ぐらいまでの社長が相手となるでしょう。ちなみに、世の社長の平均年齢は約62歳というデータがあります。

 

ただ、60歳と75歳では、かなりの差があります。一般的に60歳の社長ならば若々しいと感じさせる方が多いでしょう。同じ年齢ならば、サラリーマンの人よりも社長のほうが若く感じられる傾向があると思います。

 

方や、75歳ともなると理解力などの衰えが目立ってきます。

 

「60代で事業承継の取り組みを始めた社長は出口を迎えられるけど、70代になって始めた人は終わりを迎えられない」と、知り合いの税理士さんがぼやいていたことがあります。この発言には、たしかにその通りだと感じさせるものがありました。

 

法律や税金についてを理解する力は、年齢とともに急に衰えます。相手の立場や感情を想像したり、別の考え方を受け入れたりする柔軟性も失われます。相手の社長の年齢が高くなるほど、交渉は実を結びづらくなるでしょう。これは、話がしやすい雰囲気かどうかとは別の問題です。

 

冷徹な雰囲気の人と話をするのは気が引けますが、内容に合理性があれば、交渉はトントン拍子で進むかもしれません。逆に、雰囲気は柔らかいため話をしやすく感じても、交渉としてはのらりくらりといつまでも核心に迫らせない相手がいます。いいところまで行ってひっくり返される時だってあります。社長の年齢が高くなるほど、同じ話を繰り返させられたりしがちです。相手側の意思決定もブレる傾向があります。

 

オーナー社長の性格面に目を向けてみましょう。

 

これはさすがに人それぞれといったところですが、一般的にも言われる通り、創業社長はアグレッシブなのに対し、2代目以降はおっとりしていて保守的な傾向があります。

 

共通していることは、自分で理解して決めないと気が済まない人が多いところでしょうか。もし、人にどんどん任せるタイプの社長だったら、会社はもっと大きくなっているか、潰れてしまっているかのどちらかだと思います。このサイズで生き残ってきたということは、自分の器の範疇で経営をしてきたという意味なのでしょう。もちろん、例外もありますが。

 

経営能力はどうでしょうか。

 

いわゆる経営者としての能力がすごく高い社長は、そんなにいない様子です。それよりも、現場の仕事をしっかりやり、手を抜かないからここまでこられたというタイプが主流だと思います。経営者というより、現場のプレーヤーとしての役割を重視してきたのでしょう。

 

同様に、自らが立てた経営戦略に則って会社を運営しているような人は少なく、顧客に求められるままやってきたという感じです。ビジョンの実現を目指すというより、リアクションを続けてきて今に至っています。結果重視ではなく、プロセス重視の人間性が見え隠れするところです。

 

毎年、経営計画や予算を立てているような社長はあまりいません。大半は、数字を組み立てるというより、なし崩し的にやっています。

 

数字への弱さは、借金との付き合い方が下手なことにもつながっています。計画的にお金を借りて返済をするのではなく、足りなくなったから借りるというイメージです。それを銀行に見透かされ、いいように扱われてしまった事例をたくさん見てきました。みなさんが経営をする際には注意していただきたいところです。

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奥村聡(おくむらさとし)

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