akane
2018/06/19
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2018/06/19
「GG化」=高齢化日本が進む日本に警鐘を鳴らし、ついに現れ始めた変化の芽にフォーカスを当てる、「ひふみ投信」レオスキャピタルワークスの藤野英人氏による『さらば、GG資本主義』が刊行されました。
市場と向き合い続けてきたファンドマネージャーが見つけた変化とは何か?
その意外な事実を本文から抜粋してご紹介します。
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私はファンドマネージャーとして、約30年にわたって7000人近くの社長を取材してきました。貸借対照表や損益計算書、アニュアルレポートといった公開資料だけに頼らず、会社に足を運んで実態を見て、投資すべきかどうかを判断してきました。現在、私が社長を務める会社(レオス・キャピタルワークス)で扱っている「ひふみ投信」という金融商品(投資信託)でも、同じようにアナリスト、ファンドマネージャーたちが取材を繰り返し、慎重に組み込むべき銘柄を選んでいます。
そうやって日々、時間と労力をかけて「企業の成長」に向き合い、思考してきたからこそ、見えてきたことがあります。
ここに、重要なデータがあります。図1をご覧ください。上場企業を社長の年齢別にグループ分けして、3年間の株価のパフォーマンスと売上高の変化率を示したものです。
ちなみに、社長の年齢は60代が最も多く1699社、次に多いのが50代で883社でした。
このデータを見ると、60代以上の社長の会社より、30代、40代の社長の会社は売上高の伸び率も、株価の上昇率も高いことがわかります。上場したばかりのベンチャーなど、会社自体も若く、急成長しているところが多いこともあるのでしょう。それに、社長の年齢が高い会社は規模が大きくなり、小規模な若い会社より成長のスピードが鈍化するのは仕方ないことかもしれません。
とはいえ、ベンチャーではなく大企業であっても、トップが若返って業績が伸びることはよくあります。
例えば、百貨店大手の丸井グループは2005年に青井浩氏が44歳で社長に就任しました。
33年の長きにわたって前線に立ち続けた前社長(現・会長)の青井忠雄氏の長男で、浩氏は3代目です。
着任するなり次々に事業の見直しに着手していきましたが、特に注目されたのが2008年にスタートした「働くプロジェクト」。残業時間削減を社員主導で取り組んだもので、現在では日本で最も残業の少ない会社の一つといわれています。
また、女性活躍についての対策もかなり早かった。「働き方改革」「ダイバーシティ」という言葉が今ほど広まる前の話です。時代に先がけて人への投資に注力したことで、人の成長が企業の成長になるという好循環が生まれています。
掃除用メラミンスポンジ「激落ちくん」などの家庭用品を手がけるレックは、長年にわたり創業者である青木光男氏がカリスマ経営者として牽引してきた会社でしたが、2013年にその後を継ぎ、社長に就任したのが当時41歳だった永守貴樹氏でした。
永守氏は、日本電産の創業者で日本を代表する経営者である永守重信氏の長男です。その血を引いていることもあるのか、レックはアグレッシブな経営で順調に業績を伸ばしています。
上場企業である以上、株価や業績面で結果を出さなくてはいけないのは当然のこと。このデータからもわかるように、経営陣の若さはいまや一つの強みです。一般的に若いほど時代の流れに乗りやすく柔軟な思考ができるということがあるのでしょう。社長を務めるのは60~70代くらいの経験豊富な人がよいというイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際は逆なのではないでしょうか。
企業のパフォーマンスを上げるためにも、GGが君臨する経営をやめて、権限と責任を一切合切まとめて若い世代に渡すこと。これがいま、企業の成長、ひいては経済・社会の成長に欠かせないことではないでしょうか。
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以上、『さらば、GG資本主義』をもとに構成しました。
いまだ高齢世代が牛耳り続ける日本から、ついに見えてきたポジティブな変化の兆しを最強のファンドマネージャーが語ります。
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