akane
2018/06/15
akane
2018/06/15
私たちは、日常のあらゆる場所で警備員の姿を目にしている。
オフィスはもちろんのこと、駅のホームで、デパートで、商業施設で、工事現場で目にするのは日常茶飯事ではないだろうか。
それだけではない。コンビニなどに設置されているATMに現金を補充しているのも、航空機に乗る前の保安検査を行っているのも警備員だ。
また、警備員の姿を目にしなくても、個人宅やマンションには警備会社のステッカーが貼られているところは多い。
つまり、私たちは「警備ビジネスの支えなくしては成立しない社会」を生きているといっても過言ではない。
では、私たちは警備ビジネスのことをどれくらい知っているだろうか。
ここで、突然だが警備業に関するクイズを2問出したい。
【クイズ1】
日本には何社くらい警備会社があるか?
(1) 約100社
(2) 約900社
(3) 約1800社
(4) 約9000社
【クイズ2】
日本には何人くらいの警備員がいるか?
(1) 約1万人
(2) 約5万人
(3) 約26万人
(4) 約54万人
このクイズは、『警備ビジネスで読み解く日本』(光文社新書)を刊行した仙台大学体育学部准教授・田中智仁氏がこれまで1000人以上に出題したものだ。しかし、その正解率は異常に低く、「ざっと2~3%」だという。
正解は本書に譲るが、この数字から見えてくるのは、私たちは警備業の実態について正しく把握していないということだ。
話は少し逸れるが、次の写真を見ていただきたい。
ピシッと制服に身を包んで、ビルの入口に立っている。
いかにも「警備員」という雰囲気だ。
では、この男性は警備員だろうか?
クイズが多くなってしまったが、この男性は警備員ではなく、「守衛」である。
警備員と守衛はどう違うのか。
例えば、ここにA社があったとしよう。A社のビルの警備をB社(警備会社)に委託し、B社で雇用されている人がA社に来て警備すると「警備員」になる。一方、A社のビルを警備する人が、A社に直接雇用されていれば「守衛」になる。
このように、「他人の需要」に応じて「人の生命、身体、財産等を守る」のが「警備業務」になり、その業務を実施する人が「警備員」となる。
この一例だけでも、私たちは警備ビジネスのことを「知っているようで知らない」といえる。
前述の一冊では、「社会を映す鏡」としての警備業に着目し、そこから現代日本社会の実相を読み解くことを企図している。
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