akane
2018/05/30
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2018/05/30
現代日本のアラフォー世代は、一言で表せば「受難の世代」だ。
この世代は団塊ジュニアにあたる。単純に言って、人数が多い。そのため、青春期には過酷な受験戦争にぶつかる。
そんな経験を有するも、社会に出る頃にはあっさりとバブルが崩壊。
そこから長い長い就職氷河期が始まる。
多くの同世代が正社員になれず、フリーターや非正規人生となる。
景気は一向に回復しない。
1997年、山一証券が廃業、三洋証券・北海道拓殖銀行が破綻。
世にリストラの嵐が吹き荒れる。
1998年、年間自殺者が初めて3万人を突破。
やがて企業は非正規を頼るようになる。労働法制もどんどん規制緩和され、2000年代には非正規雇用率が3割を超える。
そして現在、非正規雇用率は4割に迫る。
こうした一連の煽りをモロに受けたのが現在のアラフォー世代なのだ。
彼ら・彼女らの20歳から現在までが、ちょうど「失われた20年」と呼ばれる日本の経済的停滞ときっちり重なっている。
そして、この「受難」は現在進行形である。
20歳から40歳までというのは、通常、結婚・出産・家の購入といった重要なライフイベントがある。
しかし、現在のアラフォー世代は、この貴重な20年が「失われた20年」と重なったために、就職も結婚も出産も子育ても家の購入もすべて経験していない(経験できない)という層が一定数存在する。
それどころか、20年以上、ずーっと最低賃金ギリギリの生活をしているという人も少なくない。
特にアラフォー女性には、現在、「出産可能年齢」という新たな壁が立ちはだかっている。
彼女たちには、時に「まだ結婚してないの?」「まだ子どもを産んでいないの?」などという心ない言葉をぶつけられることがある。それだけではない。「結婚も出産もしていない人間は社会を支える義務を果たしていないから年金を減額すべき」という暴論を吐く男性までいる。
しかし、好き好んでそうなったわけではない。
『非正規・単身・アラフォー女性』(雨宮処凛氏著・光文社新書)には、仕事・お金・結婚・出産・病気・老後・親の介護・孤独……こうした尽きない不安や心配を抱える女性たちの生の声が綴られている。
○派遣社員として数々の理不尽を受けながら働くMさん
○がんを患ったことで雇い止めにされたAさん
○日雇い・劣悪な現場を含め237社を渡り歩いたYさん
○婚活パーティ、街コン、相席屋、婚活サイト……婚活に励んできたNさん
○気がつけば「タイムオーバー」と言われた40代のHさん
○元メンヘラのAさん
○「月8万円で生きていける」と豪語する小卒フリーターのKさん
○突然倒れた母親の介護に直面したMさん
本書で、彼女たちが発する心の声に耳を澄ませてはいかがだろうか。
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