akane
2018/07/03
akane
2018/07/03
女手一つで私を育ててくれた母と居酒屋を始めて20年。母はお店のお客さんと再婚したのですが、その父に進行性のガンが見つかり、大手術をしました。いまも治療を続けています。娘としては、両親が1日でも長く一緒に楽しく暮らせることを願っています。
いま、いちばんの心配は10歳年上の主人のことです。3年前に脳梗塞になり、幸い後遺症はまったくないのですが、気になる症状があって脳神経科を受診したところ、遺伝からくる病気を発症していることがわかったのです。本人は「見つかってよかった」と前向きですし、2人で日常のささやかな幸せに感謝しながら暮らしています。3匹の猫ちゃんに癒されながら。
ただ私自身も35歳のときにパニック障害になり、その後、ひどい鬱に悩まされ、いまは解離性同一性障害の治療も受けています。4歳くらいの女の子が出てくるんです。そんなこともあって、ときどき大きな不安感に襲われ、大泣きしてしまうことも。もっと強く、もっとやさしくなりたい、それがいまの私の望みです
ご主人が脳梗塞になられたのは、ご主人自身がこれから続く生活を受け入れる心の準備ができるように、というメッセージだったのでしょう。いろんな思いがご主人にはあったのでしょうけれど、彼はちゃんと自分のこと、自分の病気を理解して、静かに受け入れたのでしょうね。そして、そのメッセージは同時に、あなたに向けてのものでもあります。「自分の時間を、夫婦の時間を大切にしなさい。彼に心を寄り添わせ、幸せに生きていくことを考えなさい」というメッセージでもありますね。
彼の病状はゆっくりだけど確実に進んでいくと思います。それを彼自身がわかっていて、日々を大切にしたいのだと思います。大丈夫、まだまだ時間はたくさんありますから、いっぱいの笑顔があふれるように暮らしていかれるといいですね。あなたがメールに書いてくださったように、「2人で食事をして、『おいしいね』って言えることや、猫ちゃんのしぐさを見て『かわいい!』と笑い合えること、その瞬間瞬間を大切に感謝する」、そう思えるのはとてもステキなことですね。それは簡単そうでいて、難しいことだと思うから。そう思えるあなたとご主人は、素敵です。
そしてあなたの不安もとてもわかります。
ご主人がいなくなったときのことを考えてしまいますよね。幸せが突然に、私のもとから消えてしまうのではないかと不安に襲われているのでしょう。
でもね、人はみんな不安なのです。不安のない人なんていないのです。
いつか人はみんな亡くなって、この世にいなくなってしまいますね。あなたもわたしもそうですね。
それを思うと、親子でも夫婦でも悲しくて不安になりますけれど。
だけど人はね、みんな不安の中にあるからこそ、幸せを感じられるものなのです。
あなたのその不安は、完全にはなくならないかもしれませんが、それでもどうぞ幸せだと思いながら夫婦の時間を大切にされて下さいね。そしてときどき4歳の女の子が出てくるのは、びっくりするかもしれませんが、それはあなたの中の我慢してきた傷ついた子なのです。その子が癒されたら、いずれ出てこなくなります。
病気はいま在ることに、いま幸せに生きるためのメッセージ。
いたずらに恐れることなく、「心の準備をさせていただいた」と感謝しましょう。
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