BW_machida
2021/04/28
BW_machida
2021/04/28
「お金を払ってでも会いたい」と思わせる存在が、ナンバー1ホストだ。しかしそんなナンバー1ホストを長年務める越前リョーマにも、思うように売上を上げられず悩んだ時期があった。
今の店『Dew’l」で働き始めた初日、僕は指名を7卓呼びました。でも、お客様は呼べたのに売上が少なかった。一般的な想定額の4分の1から5分の1ぐらいしかなかったんです。
なかなか売上を出すことができないリョーマが店の社長から指摘されたのが、「やさしすぎる」ということ。リョーマは、ホストとして客にやさしく対応することを最優先にしてきた。わがままも受け入れ、相手の気持ちを先回りしてなんでもやってあげる。それが裏目に出ていると、社長は見抜いていたのだ。
僕がしていたことは「やさしさ」を通り越して、「言いなり」でした。女の子にとって「やさしい人」どころか、「自分の言うことを何でも聞く人」になっていたんです。つまり、「都合のいい人」。
都合がいいだけの人を振り向かせるために、わざわざ大金を使おうとは思わないもの。だからリョーマには、指名をしてくれる客はいても売上を上げられずにいたのだ。そこでリョーマが実践したのは、「言うことを聞く側」から「リードする側」になること。女性の言いなりになるのではなく、主導権をとることを心掛けると、売上はどんどん上がっていったという。
「いい人」でいれば、嫌われることはありません。でも、男としての魅力もあまり感じさせないんじゃないかな?だって、刺激がないから。
「リードする側」になるために越前リョーマが行った方法が、「小さな命令」をすること。
「命令」といっても、いばって「あれしろ」「これしろ」なんて言うだけでは女性の心はつかめない。もっと小さなことから頼んでいくのがコツだという。
例えば、「そのペンとってくれる?」といったこと。あるいは、食事に行ったときにも「料理取り分けて」とお願いする。
女の子にしてみれば、「ちょっと言われたことをしてあげただけ」という感覚だと思います。でも簡単にできることであっても、そして頼むときの口調が「お願いする」スタイルであっても、「僕の言うことを聞いた」のは事実なんです。
僕が頼んで、お客様が従う。つまり、主導権は僕にあるということです。
リョーマは、女性から何か頼まれたときにも主導権をなくさないよう 意識している。お酒を飲むよう勧められたときには「じゃあ一緒に飲もうよ」と返して女の子にも飲んでもらう。アフターに誘われたときにも、「行くときは僕から誘いたいから」と伝えて断る。アクションを起こす主体を自分にすることで、関係の中でリードし続けることができるのだ。
そうして「小さな命令」で女性をリードするようになってから、ホストとしての人気は大きく上がった。女性たちは、リードされる関係の刺激を楽しみ、リードしてくれる相手に価値を見いだしているようだ。
お客様との間で主導権を握るためには、日ごろの関わり方が大切です。だからコツコツ、「小さな命令」を積み重ねていく。女の子が嫌がらない、むしろ楽しんだりするような命令を
「お金を払ってでも会いたい」と思わせるためには、このように女性を楽しませることが欠かせない。女性をリードする以外には、何をしたら良いのか?
よくある間違いが、頑張ってしゃべりすぎることだ。客を楽しませるためには芸人のようにおもしろい話をしなければならないと、必死にしゃべっていた時期がリョーマにもあった。しかし、リョーマはこの頃の接客を「しゃべれる俺」「盛り上げ上手な俺」を押し付けるばかりで、客からはうっとうしく思われていたかもしれないと振り返る。
モテない「合コンの仕切り役」に似ていたかもしれません。お客様は、楽しむためにホストクラブに来ます。でも、その「楽しみ」は、ホストの漫才を聞く事じゃない。本当に楽しかったな、来てよかったな、と思ってもらうためには、お客様自身に話してもらったほうがいい。
そう気づいてから、リョーマは女性のほうにしゃべってもらう接客をするようになったという。すると、自然に相手のことをもっと理解したいと思うようになり相手に合わせた接し方ができるようになっていた。
相手に本気で興味を持ち、「もっと知りたい」という気持ちを示す。自分をアピールするより相手を理解しようとするほうが、「モテ」への近道になると思います。
『成功したいなら誰かの「推し」になれ』には、このほかにもナンバー1ホストならではのコミュニケーションテクニックが紹介されている。あなたがホストならばもちろん、そうでなくても「会いたい」と思われたい人がいるなら、必読の本だ。
文/藤沢緑彩
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