女性が一人でも無理なく生きていけるモデルがまったく確立されていない日本社会
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作家で活動家の雨宮処凛さんは、2016年に初めての経験を味わった。
それは、「賃貸物件の入居審査に落ちる」というものだった。

 

単身女性である雨宮さんが保証人を頼めるのは父親。
しかし、現役で働いているものの、父親の年齢はその時65歳を超えていた。
65歳以上になると、保証人としては認められないケースも多くあるのだという。

 

フリーランス、単身女性、父親が65歳以上――。

 

この「三重苦」を背負うと、賃貸物件すら借りることができない。
この現実をどう捉えるか。

 

雨宮さんは、家賃保証会社に毎月7000円ものお金を払うことによって、ようやく別の賃貸物件に入居することができたという。

 

また、雨宮さんと同世代の独身女性が集まると、「他人を傷つけずに長く刑務所に入る方法を思いついた」などという話題が出るという。つまり、「老後は家賃を払えないかもしれない」という現実的な事実から、「このままでは、行き着く先は『餓死』か『自殺』か『ホームレス』か『刑務所』か」ということだ。これが、単身アラフォー女性のリアルである。

 

近刊『非正規・単身・アラフォー女性』(光文社新書)では、バブル崩壊後、格差が急激に進行する社会の中で、試行錯誤し、満身創痍になりながらも生きてきた貴重な証言が集められている。

 

本書では巻末に、ライターの栗田隆子氏との対談も収録されている。
栗田氏は、大阪大学大学院を中退後、官公庁の非常勤職員や派遣社員などの非正規で働いてきたが、その一方で、不安定な就労の実態や若年層の労働問題について当事者から声を上げるということを目的に発行されたミニコミ誌『フリーターズフリー』の発行責任者を務め、「女性と貧困ネットワーク」や「働く女性の全国センター」などでも活動されてきた方でもある。いわば、現在の単身アラフォー女性が直面しているあらゆる問題を先取りしてきた。

 

日本政府の独身女性を見るまなざし、日本が抱える社会制度の欠陥、女性だけの実験的なシェアハウス「乙女ハウス」に住んでいたときの話、等々、単身女性がこれからの時代を生き抜くためのヒントが詰まっている。

 

この世代を見過ごしてきた日本社会の現実に目を向けてはいかがだろうか。

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非正規・単身・アラフォー女性

非正規・単身・アラフォー女性「失われた世代」の絶望と希望

雨宮処凛(あまみやかりん)

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