元乃木坂46桜井玲香がこれまで語れなかった「卒業」のこと。|インタビュー前編
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乃木坂46の初代キャプテン・桜井玲香がアイドルとしての活動の最後を飾った夏の神宮から、季節は移り変わってもう秋――。グループを離れ、一人歩み始めたこのタイミングだからこそ話すことのできる「卒業」について、今思うことを話してもらいました。

 

私、アイドルには向いていなかった――

 

――早いものでもう3か月が経とうとしていますが、改めて卒業おめでとうございます。

 

ありがとうございます。ようやく肩の荷を下ろせた、という感じです。

 

――まずは9/1の最後のライブのことから聞かせてください。

 

ライブ自体は本当にあっという間で、心から楽しめましたね。最後の最後まできて、この日ほど楽しく終われたライブなんてなかったくらいで。私はもともとMCをどうしようかとか、尺は足りているのかということがずっと気になってしまうタイプなんですけど、かといって準備するとうまくしゃべれなくなっちゃうという…。だからいつもその日のステージに立ったときの気持ちとか、自然に思い浮かんだ言葉をファンのみなさんに伝えるようにしていたんです。

 

――あのラストライブもアドリブだった!?

 

さすがにこの日のメッセージくらいは前日の夜にある程度考えなくちゃダメと思ったんですけど、何も思い浮かばなくて…。全然まとまらなかったんです。だから結局ぶっつけ本番。その場の素直な気持ちをお話しましたね。ただ、ひとつちょっと違ったかなあと今でも思っていることがあって…アンコールの後は自由に時間を使っていいよとスタッフさんから言われていたんですけど、その入り方をもうちょっときれいな感じでやればよかったなと。本当はもっとカッコよく最後を締めるはずだったのに、ちょっとおちゃらけてしまって。

 

――卒業したのに、まだ反省しているんですね(笑)

 

いつも悩みがち(笑)。だって私は乃木坂46のキャプテンに、というかそもそもアイドルにも向いていないとずっと悩んでいたくらいですから。

 

――ええっ、そうなんですか?

 

キャプテンには本当に向いていなかったですね。みなさんご存じのように「ポンコツ」って言われていたくらいだし(笑)。みんなに助けてもらいながら、なんとか務められたって感じです。でも、キャプテンじゃなかったら、こんなにアイドルを長く続けられなかったとも思っています。メンバーのこともこれほど好きにならなかっただろうし、もしかしたらもっと適当にやっていたかもしれない。だからキャプテンに任命してもらったことは今でも感謝しています。

 

――アイドルに向いていなかったというのは??

 

これもずーっと思っていました。今でも思っています。もちろんお仕事が嫌だったわけではないんです。ただ私、自分の顔があまり好きじゃなかったんです。しかもその顔がアイドルとして求められるふりふりっとした可愛い衣装とか、表情とか、シチュエーションに似合わないと感じていたんです。ずっとカメラに向かって「ニコッと笑って」と言われても自信をもって笑えなかったりで。正直、お仕事だからちゃんとやらなきゃという責任感で向き合うことも多くて、実際は自分のイメージとのギャップに苦しんでいたんです。

 

――そんな悩みを抱えていたなんて…

 

だから、中でも写真のお仕事って特に苦手でした。他のメンバーと一緒に撮っていただく現場のときでも、やっぱりアイドルとして可愛らしさが必要な撮影って多いじゃないですか。そうすると、どうしても他の子に寄せて私も可愛い表情をしなくちゃいけない。大人数のグループならではですよね。でも自分としては違和感があって、どういう顔を作ったらいいか本当にわからなかったんです。

 

 

いろいろな思いがこもった両親からの一言

 

――それは「卒業」が肩の荷を下ろせたって思いにもなりますね。何か決断するきっかけはあったんですか?

 

いちばんは自分の中で次のステップに進まなきゃいけないタイミングだと思ったからなんですが、乃木坂46としてやり切った!という達成感もありました。去年、レコ大を2連覇できたというのは、めちゃくちゃ大きな到達点でしたから。あとは両親が「玲香にとって今はすごくいいタイミングだと思う」って背中を押してくれたことがあるかもしれません。

 

――ご両親に相談していたんですね。

 

もともと3人家族ですごく仲良しなんですけど、少し前に卒業するかしないか迷っていたときから話を聞いてもらっていました。あるとき母には、「今じゃないんじゃない。もうちょっと頑張ってほしいな」ってとめられたこともあったくらいで。

 

――卒業することを告げた時、ご両親は何と…?

 

ただ一言「よかったね」と。

 

――「おめでとう」ではなく「よかったね」と…

 

やっぱり誰よりも私が悩んでいることを知っていてくれたからこその言葉だったと思うんです。正式に卒業が決まった時は、私以上にほっとしていましたね。やっと決まったんだね、と。いろいろなことをやらせてもらい、もう思い残すことはないよね、と。いろいろマイペースすぎる両親なんですけど、いつだって私のことをちゃんと見守っていてくれたんです。

 

後編につづく

 

 

桜井玲香 2nd 写真集『視線
撮影 三瓶康友

PROFILE
さくらいれいか/1994年5月16日生まれ。乃木坂46の初代キャプテンとして7年半務め、2019年9月1日をもって卒業。現在は女優、月刊誌CLASSY.モデルとして活躍。2冊目の写真集『視線』(光文社)が11月27日に発売。

 

衣装:ブラウスとパンツ/ともにプールスタジオ アリヴィエ イヤリング/アネモネ
撮影/長谷川新 ヘアメーク/野口由佳(ROI) スタイリング/中村真弓 取材・文/田頭 晃(本がすき。)

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