清原和博が現在の心境を吐露「執行猶予が明けるのが怖い」
ピックアップ

ryomiyagi

2020/03/03

 

写真・宮澤正明

 

「自分が思い描いているものが、世間の皆さまに受け入れられなかったらと考えると、執行猶予が明けるのが怖い」

 

元プロ野球選手の清原和博氏が1日、東京・神田明神ホールで行われた厚生労働省主催の「依存症の理解を深めるための普及啓発イベント」に出席し、現在の心境を吐露した。

 

現在は薬物依存に悩む人々による自助グループで治療中。過去の治療については「薬物依存度が大きく、副作用でうつ病にもなった」と告白した。

 

好評発売中の対談集『魂問答』でも、僧侶・鈴木泰堂氏とのやりとりのなかに、うつ病の辛さが滲み出ていた。

 

写真・宮澤正明

 

鈴木 最初のころの電話で清原さんよく、こう言ってましたよね。
 「自分が生きてる理由がわからないんです」
 ときには、電話口で言葉を発することができないようなこともあった。
 30分間ずっと、僕のほうからある意味、一方的に、清原さんに向かって問いかけているんだけど、僕の耳には清原さんの吐息だけしか聞こえてこなくて……。

 

清原 ええ、そんなこともありましたね……。

 

鈴木 それで、30分後にやっと、清原さんの声が聞こてきたと思ったら、たった一言だけ、「死にたいんです」って。

 

清原 あのころの僕は、もう朝も昼も夜もなく、いつも目の前は真っ暗闇で。まったく光が見えないなか、長い1日がずっと続いていく……、長く真っ暗なトンネルのなかにいるような、そんな毎日でしたから。
「こんな日が、いったいいつまで……いつまで続くんやろ?」
 そう思うと、本当に生きてる理由が……、自分が生きていることの意味が、まったくわからなくなってしまって。

 

清原氏の命を繋ぎとめていたもの、それは愛する息子たちへの思いだった。

 

清原 それでも、なんとか生きてこられた、死ぬことを思い止めることができたのは……、やはり二人の息子の存在が大きかったと思います。
「息子たちに会いたい、会えるようになるまで頑張りたい」
 その思いだけでした。その思いだけでなんとか生きてこられたんです。それだけを希望に、真っ暗な闇のなかを彷徨い続けていたんです。

 

清原氏の逮捕から4年、執行猶予が明けるまでは、あと3ヶ月ほど。

 

現在の彼は、鈴木氏の支えのほか、自助グループに参加するなどして、回復を図っている。
この日のイベントでは「年に何回かは現実逃避でお酒を飲んで後悔したが、自助グループとつながってからは酒量も減った」と、感謝の言葉を口にした。

 

この日は、同じく覚醒剤事件で逮捕された俳優・高知東生氏や、NHK「おかあさんといっしょ」の元歌のお兄さんで歌手・杉田あきひろ氏、危険ドラッグ事件で逮捕された元NHKアナウンサー・塚本堅一氏も登壇。清原氏を含めた4人は同じ2016年に逮捕されていた。

 

「ギャンブル依存症問題を考える会」代表で、トークセッションの進行役を務めた田中紀子氏が壇上の4人を「花の2016年組なんです!」と紹介すると、新型コロナウイルス対策の「無観客イベント」ながら、関係者や報道陣から笑い声が上がった。

 

本音で語ることができる仲間と支え合いながら、「回復に向かって前進している」と話す清原氏。その顔からは、朗らかな笑みがこぼれていた。

 

『魂問答』
清原和博・ 鈴木泰堂 /著
amazonはこちら

関連記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterで「本がすき」を