ryomiyagi
2020/10/14
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2020/10/14
織田信長といえば、もっとも人気がある戦国武将である。同じ天下人である徳川家康、豊臣秀吉よりも、はるかに人気が高いに違いない。しかし、「上司にしたくない武将」のナンバーワンも信長である。不思議なことである。
信長の人気の源泉には、歴史に残るような諸政策(楽市楽座など)を推進した実行力があるように思う。逆に、多くの人が「上司にしたくない」と思う理由は、失策を犯した佐久間信盛が追放されたように、その苛烈な性格が恐れられたからだろう。いずれにしても、仕事ができる信長は、多くの人に受け入れられた。
また、信長は神や仏を恐れることなく、延暦寺を焼き討ちにし、大坂本願寺と死闘を繰り広げた。西洋の文物を積極的に取り入れ、キリスト教の布教を許可した。ゆえに、テレビドラマに出てくる信長は黒いマントを着用し、ワインを飲んでいる。つまり、信長は新しいものを積極的に取り入れたのだ。
信長の魅力とは、一言で言えば革新性にあるのではないだろうか。しかし、ここ十数年の間に信長の研究は大いに進展し、先に示した信長のイメージは覆されている。
これまでの信長のイメージは、単に現象面をとらえるだけで、深く中身が掘り下げられていなかった。近年の研究では、関係する史料を深く読み込むことで、先に示した数々の事象の実態が明らかになったといえよう。
たとえば、楽市楽座の場合で言えば、すでに近江六角氏らが採用していた政策であり、信長のオリジナルなものでないことが明らかになっている。楽市楽座に限らず、従来説の誤りが指摘された例は多い。信長の研究は進歩しているのだ。
今後も信長の研究から目が離せない!
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