BW_machida
2021/04/01
BW_machida
2021/04/01
人間の悩みを掘り下げるとすべては人間関係の悩みである、と聞いたことがある。それが真実かはひとまず、こと自分に関していえば100%そうだと言えるかもしれない。直接関わりのないテレビの世界のことなどにはほとんど悩まないが、目の前の人のほんの些細な言葉や、言葉にもされていない態度や雰囲気に悶々とすることはよくある。
そうして、「自分は心が弱いな」とか「小さい刺激に動揺しすぎだ」と反省することが常なのだが、だからか、『星2.0』は蟹座の「心」についての話が強く響いた。
もし、自分には関係がない星座だからと読んでいない人がいたら、冒頭だけでもまずは読んでみていただきたい。
人は強くもあり、弱くもあるもので、喜怒哀楽があり、その感情も一定ではありません。人間とはそんな「揺らぎ」を内包する存在です。(P114)
そう、人は強くも弱くもあり、感情が安定しない生き物なのだな。「揺らぎ」を内包する存在が人間なのだ。上記の言葉を読んで、あらためてそのことに気づくと同時に、これまで「揺れる」自分を不甲斐なく思ってきたことに気がついた。無意識にずっと、自分を小さく責め続けていたのだと思う。
社会は人が作りしものですが、心は神が人々に与えしもの。その心の番人を任されているということは、蟹座とはもっとも星の神様からの信頼が厚い星座だと言えるのかもしれません。(P115)
あらためて、心とは人間に備わっているものなのだ。本書で丁寧に書かれているが、ロボット・AIと人間を分かつ部分を心の有無とすると、心こそ人間らしさの核だということ。そしてその心は揺らぐ。であるならば、些細なことに揺れるわが心を、誇らしく思ったらいいのかもしれない。
西洋占星術には、一年に約一度ずつ天体を進行させて読む「プログレスチャート」というものがある。そのプログレスチャートにおける私の太陽は、13歳からおよそ30年間蟹座に位置していた。その意味としては、この期間の「人生の方針・テーマ」が蟹座的であったということ。
渦中は今ひとつ実感がなかったが、昨年秋にプログレスの太陽が蟹座から獅子座へと移動した今、本書の「蟹座」はものすごく腑に落ちた。
「安らげる場所・繋がり」を持つことが、人が人たる心を忘れないために必要なこと。それを遺伝子・魂レベル的に知っていて、無意識にそれを行おうとする人たち、それが蟹座の人たちなのです。(P126)
約30年間の蟹座の旅にてたどり着いた個人的な結論、手に入れたもっとも尊きものはまさにそれである。「安らげる場所・繋がり」。
ありがたいことに、自分のまま飾らずに一緒にいられるパートナーがいる。家族ともそのような関係になれた。思うことを忖度なしに話すことのできる友人と出会った。これが私の持つもっとも尊きものと、はっきりと言える。
荒波押し寄せる世知辛い現代社会では、心の交流とか温かいお付き合い等は軽視されたりすることもありますが、多くの人が内心求めているのは、きっとそういう「温かみ」なのではないでしょうか。(P125)
同じ人間はいないし、ホロスコープチャートはみんな違う。けれど誰もが「心」は持っている。心を持つがゆえに、傷つき疲れることの多い人はきっと、本書の蟹座のお話に、心が癒されるに違いない。
心を持つ誰しもが「私の星座」と読んでほしい! と思う。
『星 2.0』光文社
yuji /著
文・絵/野村浩平 友人の“遊びの鑑定”を受けたことにより星に興味を持つ。2018年に占星術の基礎講座を受講し、以後マイペースに独学中。太陽星座はふたご座。星のことや身辺雑記を綴るブログ「leeの話」
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