BW_machida
2021/03/09
BW_machida
2021/03/09
ある作家が物語の着想について、「考えるのではなく物語の素材が自然と集まってくる」と書いていた。その発想が頭にこびりついてから、私も日々のあれこれになんらかのテーマを見出そうとする癖がついた。当連載が始まってからは、日々の出来事から「次に書くべき星座」を示すサインを探すことが常となっている。
そんな私のこの頃は、ある方の「あなたって本当はどういう人?」という問いに始まった”私探求”のフェーズにある。そのテーマは、12星座では牡羊座の領域。ということで、この度の『星2.0』は牡羊座のページを開くこととなった。
レビュー初回にも書いたが、私は40代半ばになった今も「自分とは?」 などと青臭いことを日常的に考える。その疑問への「正解」はないかもしれないが、牡羊座についての本書にはその問いの答えのような、自分なりに「私とは」を考えるに必要な情報がいくつも示されていた。
【自分に嘘をつくことができない少年のような人】(P34)
そうか、私であることの基本は「自分に嘘をつかない」ことかもしれない。自分を偽ること、自分を誤魔化すこと、自分を蔑ろにすることは『I am』から私を遠ざける。
西洋占星術において、牡羊座の対向にある天秤座が、社会との初めての接点の場所とされている。天秤座は天秤だけに「バランス感覚」に優れ、その場の調和、社会との調和をはかるエネルギー。
天秤座が有する「社会性」とは、ある意味では自分らしさを薄め、相手や社会、”普通”に寄り添う姿勢を指すのかもしれない。その”社会性”があるからこそ保たれるバランスはもちろんあるだろう。けれど、本当のバランス、調和とは、自分が自分であることを尊び、自身を尊重した上で相手と接すること。さらに、自分以外の人の「その人らしさ」も尊重することではないだろうか。
脳内お花畑的発想かもしれないが、誰もが自分であることを大事にし、自分に嘘をつかなくていい世の中こそ、本当の意味での「平和」なのではないかと思う。
自分にないものを人に与えることはできないのだとしたら、まずは自分自身が自分を一番に尊重することが、世界平和への貢献と言えるかもしれない。
【「個性ありき」の世界は、(中略)誘惑に負けない、周りからの圧力に引っ張られたりしないといった、何事にもめげない・折れない・へこたれない精神も必要なはず】(P51-52)
【「個が際立つ領域」において輝くために必要不可欠な、勇気・活気・そして負けん気】(P52)
「個性が鍵」とされる風の時代は、これまでのように「空気を読んで空気に従う」ことよりも、「自分はどうしたいのか」という「自分」を軸に生きることが重要と感じる。空気を読むことを鍛えたかつてを「天秤座力の強化時代」とすると、ここからは「I am」軸で生きる「牡羊座力強化時代」だろうか。
例えばこうして、自分の感じたこと、考えたことを公の場所に放つことは怖いことでもある。黙っていれば誰にも文句を言われないし、波風を立てることもない。けれど、表現されずともそのように感じ考えた自分は確実にどこかにいる。決してないことにはならない。
200数十年続いた土の時代が終わり始まったニューフェーズとは、言ってみれば誰もが牡羊座的に生きるとき。赤子のように新しい「NEW ME」 を自らの力で産み育てなくてはならないのかもしれない。
時代の風が「私であること」を後押しする今、「めげない・折れない・へこたれない精神」で、勇気をもって自分をあらわしていこう。個性という孤独を引き受け、ユニークな新世界を共に創造していこうじゃありませんか!
『星 2.0』光文社
yuji /著
文・絵/野村浩平 友人の“遊びの鑑定”を受けたことにより星に興味を持つ。2018年に占星術の基礎講座を受講し、以後マイペースに独学中。太陽星座はふたご座。星のことや身辺雑記を綴るブログ「leeの話」
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