BW_machida
2021/04/26
BW_machida
2021/04/26
今でこそカリスマホストとして活躍する越前リョーマだが、彼にも全く売れない時期があった。21歳で埼玉のホストクラブから歌舞伎町のホストクラブに移籍したときのことだ。ホストの経験があったにもかかわらず、初めの2か月は全く指名が取れなかったという。
「今までのやり方じゃダメだ」「ここは歌舞伎町。埼玉のやり方は通用しない」そう考えたリョーマは、今までのやり方を捨て周りの人に徹底的に教えをこうことにした。
もちろん人によって言うことが違うし、「それ本当?」って感じることもあります。でも、すべて試しました。
仕事の正解はひとつじゃない。やってみなければどれが正解なのか分からない、と思ったから。
そうしてもらったアドバイスを全て試してみると、意外な発見もあったという。当時ナンバー1の先輩ホストから教えられたことを試しても結果が出ないことがあった。一方で、接客以外の業務を担うスタッフからのアドバイスに従ってみるとうまくいった、ということもあったのだ。誰かが成功したやり方が自分にもフィットするとは限らない。自分なりの方法を見つけることが必要だったのだ。
これを試して、ダメだったらこっち。それでもダメだったら、じゃあどうする?と考える。
毎日これを繰り返して、自分にとってしっくりくる方法を探して……。とにかく「なんでもやってみる」を実行していたら、翌月には上位に入ることができました。
そうしたトライ&エラーを繰り返し自分のやり方を磨き上げていったことに加え、小刻みな目標を掲げたこともナンバー1への道につながっていた。
越前リョーマは、新人ホストがいきなり「ナンバー1になる!」という大きな目標を立てるのはつまずきのもとだと話す。
これって、一般企業の新入社員が「代表取締役になる!」という目標を立てるのと同じことです。あまりにも現実味がないと、達成できる気がしないんです。仮に本人がものすごく優秀でも、実際にはいきなり経営者にはなれない。新人として目の前の仕事をこなすことから始まって、少しずつ昇進していくはずです。
大きな目標を立てすぎてそれが達成できないと、自分を責めて落ち込んだり、周りの環境を責めたり、そのうちに仕事が嫌になってしまう。だから、「頑張れば手が届きそうなこと」を目標にすることが重要なのだ。
目標を達成したときって、すごい充実感がある。頑張って、自分の力で結果を出したんだ、っていう自信もつく。この気持ちを一度でも味わえば、必ずまた味わいたくなる。そして、そのために頑張れるんです。
リョーマ自身も、すぐ目の前に見える目標を少しずつクリアしていくことでどんどんレベルアップができたという。歌舞伎町で働き始めたばかりの頃は、1カ月に1000万円の売上げをあげるなんて夢の話だった。それが、今月は400万円、それが達成できたら500万円、その次は600万円、700万円……と段階を踏むにつれて自信が持てるようになり、気づけば1000万円の売上を出せるようになっていたのだ。
周りと差をつけるための努力も、越前リョーマをナンバー1たらしめるものの一つだ。
彼の所属するホストクラブではしばしば社員旅行にいくことがある。客の女性たちは旅行のことを伝えると、気を使って「旅行中は連絡してくれなくていいからね」と言うそうだ。その言葉を真に受けて、ほかのホストたちは旅行を楽しむことに専念する。しかし、リョーマはそこで必ずメッセージを送る。
「誰からも連絡は来ないだろう」と思っているときにメッセージが届いたら、いつも以上に嬉しいはず。ちょっとしたやりとりでも、価値が数倍になるんです。
前日も仕事で寝る時間もなく旅行に出るのだから、移動中は眠気に襲われるときもある。それでも飛行機の中では相手におくるメッセージの内容を考え、降りるとすぐに送信。誰よりも早くメッセージを送るようにしているという。
みんながやらないから、自分もやらない。これでは、ライバルに差をつけられません。周りとの差を広げるためには、「みんながやらないときこそ、自分はやる」という発想が必要だと思っています。
歌舞伎町という華々しい世界で活躍する越前リョーマは、こうした地道な努力によってトップにまでのぼりつめた。しかも、彼はこれらのことを苦にせず続けてきたというから驚きだ。
僕がここまでやるのは、すべて自分のため。誰かにやらされているわけではなく、やりたいと思うのも、実行するのも自分です。
モチベーションの源は、ナンバー1でいたい、今よりもっと上に行きたい、という気持ち。
もし何かをなしとげたいとおもうなら、何かの分野で1番になりたいと思うなら、越前リョーマの成功哲学から学ぶことは多くある。ただひたすらに上を目指すこと、そのためにあらゆる努力を惜しまないこと。シンプルだからこそ、あなたの夢実現のためにもきっと役に立つはずだ。
文/藤沢緑彩
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