BW_machida
2021/12/07
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2021/12/07
寺門 母親が子どもを引き取って育てる場合、離婚後のキャッシュフローで完全に赤字になる時期があるんです。お子さんが高校から大学の間ですね。養育費はもらえたとしても、収入が多い場合、児童扶養手当を受け取れない人もいます。児童扶養手当は全額支給されて月額4万3160円、一部支給で4万3150〜1万180円(令和3年 11月現在)。子どもの数によって加算されるとはいえ、十分とは言えないと思います。このような現状を踏まえ、離婚約中に今後の生活を具体的に考え、必要経費をイメージしておくことが大切です。
くらら そうですよね。成長するにつれて習い事や塾代などの教育費もかかってきますよね。ママ友は、「中学受験で、車1台なんて余裕で買えるくらいかかった」と言っていました。受験でなくても習い事を2つくらいすれば毎月2万〜3万円はかかりますよね。バレエや野球などスポーツをしていたら発表会にかかるお金、衣装やユニフォーム代、遠征試合代などその都度かかります。友達は娘のバレエ発表会で、舞台を一瞬横切っただけの登場に10万円かかったと言っていました。
寺門 子どもの将来をどうしてあげたいのか?大学進学なのか、はたまた別の道なのか?くららさんが仰る通り、ダンス、スポーツ、芸術をやっている子はお金がかかります。住む家があるのかないのか、ペットがいるのか、今後、飼いたいと思っているのか、自分の趣味はどうするのか、親きょうだいを支援する必要はあるのか、譲れない支出があるのかなどを考え、「こんなにかかるのか!」とリアルに見ることです。「生活費は光熱費と家賃くらいでしょ?」と甘く見ると失敗してしまいます。
くらら そこまで考えたことなかったです……。今、自分と子どもにいくらかかっているのかもアバウトでした。
寺門 いくら年金をもらえるのかを知ることも大切です。「FP相談ねっと」の「LINEねんきん定期便試算」で簡単に老後の年金を調べられるのでチェックすることをオススメします。日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」があれば65歳から受け取る老齢年金がわかります。
くらら 実際に金額が見られるのがいいですね。
寺門 公的年金について少しご説明しますね。公的年金には国民年金と厚生年金の2種類があります。国民年金は「国民」とあるだけに、全ての国民を対象としたもの。厚生年金は、会社員や公務員など、組織に雇用される人が国民年金と併せて加入するものです。年金加入者は被保険者と呼ばれ、第一号被保険者(自営業/フリーランス、20歳以上の学生、無職、上記の妻で20 歳以上)、第二号被保険者(会社員や公務員)、第三号被保険者(第二号に扶養されている配偶者)の3種類に分類されます。 老齢年金とは老後の生活を支えるために給付されるもので、国民年金から給付される「老齢基礎年金」と、厚生年金から給付される「老齢厚生年金」とに分けられます。
くらら 40代でフリーで働いている人や専業主婦は、それぞれ第一号被保険者、第三号被保険者ということになりますよね? そうなると、もらえるのは基本的には「老齢基礎年金」のみ。
寺門 その通りです。令和3年度を例に取ると、20歳から60歳まで全期間、40年間にわたって国民年金を支払った場合、老齢年金受給額は78万900円/年。受給額は毎年4月〜翌年3月までを期間として変更され、変更基準は社会情勢(経済状況や人口)に合わせて調整されます。
くらら もし支払いが40年に満たない場合はどうなるのでしょうか?
寺門 かつては保険料を25年間(300ヶ月)以上納付していないと老齢基礎年金を受け取る権利(受給資格)を得られませんでした。しかし、平成29年8月の法改正で緩和され、現在では10年(120ヶ月)以上の納付があれば、減額されるものの受給資格は得られます。また、減額されたくない人のための救済措置として任意加入制度があります。任意加入制度とは、本人の申し出により、60歳以上65歳未満の5年間(納付月数480月まで)、国民年金保険料を納めることで、65歳から受け取る老齢基礎年金を増やすことができる制度です。
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