2018/05/21
RUKA Rǭkà Creative Director/Designer/Therapist /Instructor
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? ~経営における「アート」と「サイエンス」』光文社新書
山口周/著
昨年の夏、出会い。
美意識を表明してもいいの?
そういう時代に偉い先生方もなったって感じているの? って。
涙がでるほど嬉しく。わたしにとって、文章を書くきっかけをくれた大切な本です。
グローバル企業が世界的に著名なアートスクールに幹部候補を送り込むなど、世界のエリートが企業価値、利益的な側面から美意識を鍛えている。著者は超優秀なビジネスコンサルタントであり、現場でクライアントを視ながら分析をしてきたことを非常に分かり易く伝えてくれています。
スマホ、タブレット、SNS、シェアリング、AI……現在の世界を正確に予測することは誰もできなかったのです。例えば、11年前まではiPhoneはなく、過去の商品を改良し似たような形状のデバイスを製造する中、あの価値観で登場するや世界は書き換えられました。数値に可視化された実績や予測などの理論、理性的な判断、それらは粉々に崩れる。そういう時代です。今までの流れでビジネスを組み立てていては到底成り立たない。
では、何を基準に何を根拠に企業は、ビジネスマンは未来を描いていけばいいのか?
それが美意識だとはっきり述べています。つまり、ひとりの未来を描ける美意識を持った人間が世界を変え得る。これは価値の創造です。ようやく世界は新たなクリエイティビティの時代へ入ったと。
あなたに教養はありますか?
何も、家柄よく若い頃からたしなみを経験させてもらったから美意識が育つわけではないと思います。世界レベルのアートスクールや美術教育に関して積極的に勧めているようであるけど、この本の本質は違うとわたしは思います。
どうしたら「美意識」が鍛えられるか、著者は結論を出していません。著者の優しさとドライな部分を感じます。爽やかで素敵です。
センスはいい奴はいいよね! 生き残る会社はセンス良く未来を理解しているよねって。
じゃあセンスない者はセンス身に着けられないじゃん!
って(笑)
ええ、そう思う。
美しいものを「うつくしい」と感じられるか。情緒、感受性は日本人の昔は備わっていました。
誇りはあるか? 心はあるか? 自然に対する感謝はあるか? すべてのものごとに関して審美眼を持とうとしているか?
「美意識」のある、センスのいい人とは、そんな当たり前の人間としての創造性を大切にしているのではないかと思う。
生活は芸術であり、本質はコップの水にもある。
日々に相殺され時間を過ごしていないか?
他者に流され、時代に流されるではなく、自ら事を創り、楽しむ心を。
自分に与えられた生命の時を燃やす。
この本に出会い感じた方は、己の「美意識」を発見する旅が始まることと思います。
これもオススメ!
田中潤・松本健太郎『誤解だらけの人工知能』光文社新書 2018年
→ツールはツールとしてあるべきなので、恐れたり、浮足立たず。シンプルに頭のキレる方の著書って好きなんです(笑)
ー今月のつぶやきー
ゆく先を決めず、ふらふらとお散歩していたら出会いました(笑)、、、作家 有島武郎。
「美意識」をもつ者の激しい生き様と厳しい自然の美しさを感じます。
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」』光文社新書
山口周/著