東京五輪とWBCのメンバーはホークスの「短期決戦力」を基準に考えよ!
お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

ryomiyagi

2019/12/17

プレミア12で10年ぶりの世界一に輝いた侍ジャパン。
来年は東京五輪、その翌年にはWBCを控える中、日本代表に必要な選手は誰だろうか?
「お股クラスタ」の1人であるいーづか。氏(@B_Methods)が日本代表の今後の姿を考える。

 

 

10月、11月は激動の2ヶ月だった。CS、日本シリーズ、さらに今年は世界野球プレミア12があり「短期決戦」を味わうには十分すぎるくらいだった。

 

今回は日本一に輝いた福岡ソフトバンクホークスを例に挙げ、「短期決戦に強いチームとは何か」を考える。

 

検証の後には、これからの日本野球界にとってのビッグイベント、2020年東京五輪や2021年WBCへ向けて日本代表に求められる編成、必要な選手などを語っていく。

 

■ソフトバンクの凄さ 投手編

 

前提として、短期決戦において超エース級(例えば千賀)以外の先発投手が長いイニングを投げることはあまりない。

 

調子が悪い、相手が慣れてきたと見れば、即交代を考えなければならない。プレミア12でも、試合間隔の短さなどもあって先発投手の平均投球回数は4イニング程度に留まっている。

 

ここで大事になるのが“第2先発“という役割だ。先発としての力もありつつ2番手以降のリリーフ適性を持つ人材が求められる。具体的に言えば、真っ直ぐの球速や球質の良さ、「#お股本」にもあるスラット・スプリット型投球などを併せ持つ「支配力」のある投手をブルペンに入れたい。

 

ソフトバンクは、ポストシーズンになると第2先発要員として石川柊太やスアレスらをベンチに入れる。彼らは先発投手ながら中継ぎ適性のある高出力、スラット・スプリット型の投手だ。

 

特に石川柊太は、普段より短いイニングで力を発揮出来るので、この第2先発の役割にがっちりハマっている。ポストシーズンの通算防御率はなんと1.40である。
中継ぎも、中盤のワンポイント用に嘉弥真だけ入れておいて、あとはスラット・スプリット型のリリーフ(高橋純、甲斐野、モイネロ、森ら)で逃げ切る形を作っている。

 

■ソフトバンクの凄さ 野手編

 

一発勝負に近い状況に置かれる短期決戦で重要なのは、安定してヒットを積み重ねるコンタクトヒッターの存在だ。ソフトバンクはここも非常に厚い。レギュラー格の中村晃、内川聖一、加えてポストシーズンになると途端に長谷川勇也の起用が増える。コンタクトヒッターの存在がより鍵を握る短期決戦においては、非常に合理的な采配だ。

 

ちなみに、unknown氏のコラムに記されている通り。今季世界一になったナショナルズも短期決戦ではコンタクト能力をより重視し、長打寄りのアダムスやドージャーを外しケンドリック、ジマーマンらを起用している。

 

短期決戦では状態を悪いと見ればピンチヒッターへの交代を考えるケースも増えるが、コンタクトヒッターの場合はピンチヒッターに送りやすいのも長所だ。2017年WBCで、小久保ジャパンが内川聖一を代打要員としてメンバーに入れたのも頷ける。

 

野手は長打力がありながら的確にコンタクトもして得点。投手はスラット、スプリットで三振の山を作り無を生み出す。ソフトバンクの必勝パターンであり、短期決戦の勝ち方としては究極の形である。

 

■日本代表への提言 投手編

 

先ほど、第2先発という役割、スラット・スプリット型の支配力あるリリーバーの枚数が重要だと書いた。

 

しかし、今回のメンバーを見ると山岡、大野、岸など技巧派に近い純先発型が多かった。彼らはあまり第2先発、2番手以降に向いていない。実際、唯一の敗戦となったアメリカ戦ではこの山岡と大野の失点がかなり響いてしまった。

 

中継ぎもワンポイントで使うようなタイプが多く、結局のところ試合の流れを切る役割は今回のメンバーで数少ないスラット・スプリット型のリリーバー・甲斐野に一任されたと言っていい。

 

五輪やWBCに向けてこの編成を変える必要がある。第2先発は、このポジションに今永(DeNA)が回るくらいの選手層を求めたいだろう。具体的に名前をあげれば石川柊太、さらに大瀬良(広島)、種市(ロッテ)らを選出しても面白いか。2017年WBCで千賀が第2先発をしていたようなイメージである。

 

スラット・スプリット型リリーバーは、今のNPBでも多くの候補がいるので増員したい。松井、森原(共に楽天)、森(ソフトバンク)らは是非とも入れたい人材だ。ベイスターズファン故に挙げさせてもらえば、左なら石田健大(DeNA)もこのタイプである。

 

■日本代表への提言 野手編

 

コンタクトヒッターでは、現在NPB最高レベルの打者がいる。森友哉(西武)だ。森は走者が少なければ長打を打ち、得点圏では正確にミートしタイムリーという素晴らしい打撃バランスを持っている。

 

五輪、WBCには欠かせない選手になるだろう。4番・鈴木誠也の後ろに5番で森がつくようなオーダーになれば、かなりの脅威となる。同じタイプの選手で言えば2015プレミア12で活躍した中村晃(ソフトバンク)、国際試合の経験が豊富な青木宣親(ヤクルト)などの選出もありではないだろうか。

 

プレミア12では参加12ヶ国の中で最高のコンタクト率80.16%、奪三振率も9.75と高い数字を叩き出した日本。「三振の山を築き、三振しない」という短期決戦に勝つための要素を十分持っているチームである。上に書いた課題をクリアし、東京五輪での金メダル獲得、WBCの王座奪回を成し遂げてもらいたい。

お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

お股ニキ(@omatacom)(おまたにき)

野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、様々なデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配に関してTwitterでコメントし続けたところ、25,000人以上のスポーツ好きにフォローされる人気アカウントとなる。 プロ選手にアドバイスすることもあり、中でもTwitterで知り合ったダルビッシュ有選手に教えた魔球「お股ツーシーム」は多くのスポーツ紙やヤフーニュースなどで取り上げられ、大きな話題となった。初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴』がバカ売れ中。大のサッカー好きでもある。
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