blitzkrieg-system
2017/11/30
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2017/11/30
がん細胞が主な栄養源としているのは、炭水化物から合成されるブドウ糖(グルコース)です。それも、正常細胞よりも3~8倍ものブドウ糖を取り入れなければ、生命活動を維持することができません。一方、正常細胞のほうはと言えば、ブドウ糖の供給が途絶えても、緊急用のエネルギーを皮下脂肪から作りだすことができます。このブドウ糖に代わる緊急用のエネルギーが、私ががん治療の鍵としている「ケトン体」という物質です。実は、私がタンパク質とEPAを強化した糖質制限食をがん治療の支持的療法に据えているのも、患者さんのエネルギー産生システムを、短期的に「解糖系エンジン」から「ケトン体エンジン」へと変えるために他なりません。それこそが、がん治療の成否を左右する重要な支持的療法になると考えたからです。
医学博士。1967年山口県生まれ。九二年慶應義塾大学理工学部電気工学科卒。その後、山梨医科大学医学部医学科に入学。九九年、消化器外科医を志望し、東京女子医科大学消化器外科に入局。大学では、膵臓班に所属し、当時、膵臓がん手術件数日本一を誇っていた。二〇〇六年、(公財)東京都保健医療公社荏原病院外科を経て、多摩南部地域病院外科に勤務。NST(栄養サポートチーム)に従事し、本格的にがんの栄養療法を開始。がん免疫栄養療法の臨床実績を上げて、一四年、それまでの栄養療法のケトジェニック化に成功。一五年一月より、ステージIVのがん患者を対象に、世界初の臨床研究を開始。現在、がん免疫栄養ケトン食療法の普及に努めている。
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