• バッタを倒しにアフリカへ

    前野 ウルド 浩太郎(まえの うるど こうたろう)

バッタの群れは海岸沿いを飛翔し続けていた。夕方、日の光に赤みが増した頃、風向きが変わり、大群が進路を変え、低空飛行で真正面から我々に向かって飛んできた。大群の渦の中に車もろとも巻き込まれる。翅音は悲鳴のように重苦しく大気を振るわせ、耳元を不気味な轟音がかすめていく。このときを待っていた。群れの暴走を食い止めるため、今こそ秘密兵器を繰り出すときだ。さっそうと作業着を脱ぎ捨て、緑色の全身タイツに着替え、大群の前に躍り出る。
「さぁ、むさぼり喰うがよい」

目次

  • まえがき
  • 第1章 サハラに青春を賭ける
  • 第2章 アフリカに染まる
  • 第3章 旅立ちを前に
  • 第4章 裏切りの大干ばつ
  • 第5章 聖地でのあがき
  • 第6章 地雷の海を越えて
  • 第7章 彷徨える博士
  • 第8章 彷徨える博士
  • 第9章 我、サハラに死せず
  • あとがき
  • 著者紹介

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