ryomiyagi
2020/08/31
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2020/08/31
前作『銀花の蔵』が直木賞の候補になるなど、創作活動がますます好調な遠田潤子。八月に刊行された期待の最新作『雨の中の涙のように』は、今までにない幾つものこころみをはらんだ注目作です。
この作品では、各章ごとに過去に縛られて思うように生きていない「主人公」が圧倒的なオーラを放つスター、堀尾葉介と何らかの形ですれ違います。その出会いから、彼らの人生や、心を動かし、変化させるドラマと感動が各章ごとに展開されます。
しかし、その葉介も過去に縛られていることが徐々に明かされて行く……。心を動かすことにおびえている人々が過去と向かい合う姿を、丁寧に、繊細に、そしてドラマティックに描く感動作の第一章「垣見伍郎兵衛の握手会」を公開します。
愛媛県大洲の町でハンコ屋を営む伍郎は、若いころ京都で夢にすがって大部屋俳優の貧乏暮らしをしていた。伍郎の人生に堀尾葉介というスターが舞い込んで──。
(とおだ・じゅんこ) 1966年大阪府生まれ。2009年『月桃夜』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。12年『アンチェルの蝶』が第15回大藪春彦賞候補に。14年刊行の『雪の鉄樹』が16年に“本の雑誌が選ぶ文庫ベストテン第1位”に選ばれ、一気にブレイク。さらに17年に『冬雷』が「本の雑誌 2017年上半期エンターテインメント・ベスト10」第2位、第1回未来屋小説大賞 推理作家協会賞長編部門候補、『オブリヴィオン』が「本の雑誌 2017年度ノンジャンルのベスト10」第1位、20年刊行の『銀花の蔵』は第163回直木賞候補となる。他に『カラヴィンカ』『あの日のあなた』『蓮の数式』『ドライブインまほろば』など。
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