akane
2018/11/14
akane
2018/11/14
ふつうモノクロでしか見ることのできない昭和30年代の日本を、カラー写真で記録していた人物がいた。
アメリカ出身、日本と日本の鉄道をこよなく愛する、元祖「カラー撮り鉄」、J・ウォーリー・ヒギンズ氏。
1956年に、初来日。’58年に本格的に来日以降、日本に在住。国鉄の顧問を務め、日本全国をくまなく巡りながら、趣味の鉄道写真を中心に、当時としては超贅沢なカラーフィルムで日本の風景を多数撮影してきた。
そんなヒギンズ氏が、このたび出版した『秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』から、いくつかの写真と、それにまつわる思い出話をご紹介する。
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クラシックな建物の東北大学病院を前に、終点の八幡宮からきた市電が南に曲がるところ。
若い頃、私が興味を持っていたのは大型の蒸気機関車だったが、友人がはまっていたのは路面電車(トラム)だった。路面電車には何度も乗ったことがあったが、当時の私にとっては特に関心を引くようなものではなかった。
しかし、彼の話を聞いているうちに、だんだん興味がわいてきたのだ。
電車や路面電車の面白さというのは、人や人の生活と大きく関わっているところではないかと思う。特に路面電車というのは、ほぼ100%旅客用だから、面白いんだろう。
たとえば、自分の家や町から地元の鉄道の駅まで出るのに、歩いて行くのと路面電車に乗って行くのとどっちが便利かと言ったら、やっぱり路面電車がある方が便利だ。
自分の住む小さな町から、路面電車で最寄りの駅まで行く。その駅まで来れば、電車に乗れる。
そしてその電車は、町の外の、もっと大きな町へとつながっている。
生活を支え、今いる所だけでなく、その先の広い世界へと人をつなげてくれるのは、路面電車なんだ。
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