akane
2019/03/15
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2019/03/15
「日本はものづくりに強い」というのは日本人の共通認識で、ある種の誇りの感覚を持って語られる場合も多いでしょう。では、その「強いものづくり」は何によって支えられてきたのか、ご存知でしょうか。
これはあまり知られていない事実なのですが、実は、この4半世紀、日本の「工作機械産業」は「世界最強」の存在でした。
大学卒業後、ファナック株式会社に入社し、開発技術者として約10年間過ごした後、現在、東北大学大学院経済学研究科の教授として技術経営戦略やイノベーション経営といった分野を研究している柴田友厚氏は、『日本のものづくりを支えた ファナックとインテルの戦略』(光文社新書)を上梓しました。この本は、表舞台にはめったに登場しない「世界最強の裏方産業」の50年の革新史を、ファナックとインテルという2つの企業を切り口として描いたものです。
では、なぜ、ファナックとインテルなのでしょうか。
この2つの企業の組み合わせを奇妙に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
かたや、産業用ロボットや工作機械等、ファクトリー・オートメーション企業のリーダー企業で、かたや、パソコン用のマイクロプロセッサ(Micro Processing Unit、超小型演算処理装置、略してMPU)を開発する半導体産業のリーダー企業です。
たしかに、ファナックとインテルは、一見、無縁に思えるかもしれません。
しかし、これもほとんど知られていないのですが、パソコン産業より6年も早くマイクロプロセッサを導入したのは、実は日本の工作機械産業で、それを主導したのがファナックだったのです。
現在の多くの工作機械には、パソコンに組み込まれているのとほぼ同様のマイクロプロセッサが組み込まれていて、それによって自動制御されています。その意味で、工作機械産業は、パソコンと比肩しうるハイテク産業といっても間違いではありません。
この2つの企業が歴史上交差することで、日本の工作機械産業は大きな革新を遂げて競争力を飛躍的に高めてきたのです。そして、見えないところで、日本のものづくり全体を下から支えてきたのです。
この本では、世界最強の裏方産業が一体どのような経緯で生まれたのか、その創造と革新のプロセスを描いています。
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