「パパ活」で失われてしまうこと―― パパ活当事者女性インタビュー
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女性が年上の男性とデートをして、見返りに金銭的な援助を受ける――こうした「パパ活」が隠れた社会現象となっています。そんな中、パパ活を社会学の知見から分析した光文社新書『パパ活の社会学』が昨年秋に刊行になりました。刊行後もブームの衰えは見られず、定着の兆しすら見られるパパ活の実態を深堀りするべく、著者の坂爪真吾氏をモデレーターとして、実際に交際クラブ経由でパパ活を行なっている女性たち3人をお招きし、お話を伺いました。パパ活市場で躍動する当事者たちの肉声に、全4回で迫る最終回です。(第1回はこちら、第2回こちらから、第3回こちらから)

 

 

パパ活で失ったもの

 

――ここまで、みなさんパパ活で得たものの方が多い印象を受けました。とくに失ったものはありませんか?

 

あや 同年代の男の子たちが子どもに見える(笑)

 

たまき 彼氏ができなくなった!(笑)

 

あやか 同年代の男性と一緒にいてもつまらない。

 

たまき 保育園児みたいな(笑)。30歳を超えててもムリ……。自分のなかで35歳がボーダーになった。未婚で35歳とかいないから(笑)。未婚でも何か癖ある人だし(笑)。

 

――ある意味で一番の副作用な気がしますね。

 

たまき でもパパ活で出会った男性とは、彼氏と近い関係になりますから。友だちみたいに飲みにいっちゃうし……。自分のなかで彼氏はいてもいなくてもいい存在になってしまう。

 

――自分の中で少し引っかかるのが、年上の男性ってある種「完成形」というか、経験も色々積んで、地位があって、お金もあって、出来上がってしまっている状態じゃないですか? 男性と自分がまったく同じ立場から、関係性を積み上げていく、関係性を育てるような人間関係が難しくなってしまうような気がするのですが……。

 

たまき 逆に若い人の方が難しいかもしれない。だってどう転ぶかわからないじゃないですか? 安定していて、余裕がある人の方が、上下関係とかはなく、ただの「人」としてフラットに接してくれて、変な色眼鏡もなく……「対人間」というか。

 

――安定している人の方がフラットな関係を築きやすいと。

 

たまき 同世代といる方が「ジェネレーションギャップ」を感じてしまいます(笑)。学生の何が好きで……とか分からなくなるから(笑)。おじさんとかの方が話が合う。これは弊害かもしれませんが……。

 

――パパ活などをやっている学生の方は、同世代の人とまったく話が合わなくなってしまうかもしれませんね。

 

たまき そもそも学生でパパ活をうまくやっている子はどこかしら老けている部分があったりするから(笑)。

 

――年齢に合わない振舞いや、考え方の人は多いような気がします。もしかすると、20代女性と40代男性が精神面では釣り合っている、のかもしれません。

 

パパ活女性に聞く、パパ活が流行っている理由

 

――メディアを取り上げられるほど、パパ活が流行っている理由についてみなさんはどう思われますか?

 

あやか 昔からこうした営みはあって、重い「愛人関係」といったものが、アプリなどを通して、どんどんライトに「パパ活」になっていったのかな?

 

――インフラの問題もありますね。

 

あやか でも若い人には覚悟がなくやっている人もいるかもしれません。私も始めたきっかけは好奇心でしたが、今は覚悟を決めてやっています。世代によってとらえ方も違うのかな。

 

あや 私は男女の経済格差で流行っているのかな、と思います。学生はバイトなんかより簡単に稼げてしまうし。

 

――そこは一番大きいかもしれませんね。

 

たまき 昔の学生は自分の時間をすべてバイトに費やして、学校に通う人も多かったと思うけど、今の学生は自分の時間が大事だし、ガツガツ働きたくないし、それくらいだったら、バイトを辞める人が多いから、嫌なことをしたくない。ご飯を食べにいくとか、自分の好きなことでお金をもらえるのであればありがたい。それでパパ活を始める人も多いんじゃないかな。

 

あやか これだけ流行っているということは「需要と供給」がマッチしていて、男の人は癒しを求めているし、若い女の子はお金がほしくてみたいなこともあるのかもね。

 

【まとめ】

 

今回お話しいただいた三人の方々、いずれも自然体であるところ=「パパ」との人間関係や金銭のやり取りをごく自然な形で享受しているところが印象的でした。

 

もちろん、パパ活をしている女性が全てそうした方々ばかりではないことは確かですが、読者の皆様も、パパ活に関して世間一般に流布しているイメージとはまた違った現実を垣間見ることができたのではないでしょうか。

 

交際クラブやマッチングアプリの進化と普及に伴い、これからパパ活はますます私たちの日常生活に溶け込んでいくはずです。

 

将来は、パパ活が「活」ですらなくなる日=学校や職場、ご近所や地域の付き合いと同様、個人が日々の生活の中で無意識のうちに築き上げている人間関係の一つになる日が来るのでは、と感じた座談会になりました。

 

(取材協力:ユニバース倶楽部)

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パパ活の社会学

パパ活の社会学援助交際、愛人契約と何が違う?

坂爪真吾(さかつめしんご)

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