麻木久仁子が薦める「更年期世代は体をじんわり温める薬膳を」
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「私たちアラフィフは、仕事も子育ても一段落して、正直、燃え尽きちゃった感じもある。なんとなく寂しくもある。それでも、人生はまだ長いわけだし、『よし、これからだ!』と、あらためて歩み始めようと思ったところで、今度は更年期障害が始まる……そんな年代です。イライラすることもあるし、昔のように頑張れないことだってある。でも、そんなときに、食べるといい薬膳もあるんですよ」

 

そう話すのは、タレントの麻木久仁子(55)。乳がんの手術を受けたのは’12年のこと。それから5年がたった昨年10月、治療に一区切りついたことを発表した。がん罹患の2年前には、脳梗塞を発症していたことも明かしている。

 

麻木といえば、知性派のイメージと親しみやすいキャラクターを兼ね備え、これまでクイズやバラエティ番組で活躍してきた。加えて近年は、講演会を中心に、自身の闘病経験や検診の大切さを伝える活動を行い、予後について語る機会も多い。初の料理エッセイ本『ゆらいだら、薬膳』(光文社)では、毎日作りやすい薬膳レシピのほか、導き出した“生きやすい生き方”についても紹介している。

 

薬膳でいう「体にいい」とは、季節、そして体調に合っている料理であること。更年期世代には、その世代なりの食べ方があるという。

 

「近ごろ、やたらと『体を温めなさい』と強調されるでしょう? 若い女性が薄着で体を冷やすのは、確かによくない。でも、薬膳の考え方では、ポカポカすべきときがあれば、冷まさなきゃいけないときもある。特に更年期世代は、そろそろほてりも気になるし、肌の潤いが減ってくるわけです。そこへ、はやりの火鍋に唐辛子たっぷり、というのでは、体がポカポカしすぎちゃう。汗をダラダラかいて、ただでさえ少ない水分が、体から出ていっちゃうんです。われわれの世代は、火をバンバンたくように温めなくちゃならない若い人たちとは違う。じんわり温めましょうよ、と。そして、体を温めながら同時に潤いも逃したくないときに、火鍋というよりは、豆腐やカキ、豚肉の入った豆乳鍋が理にかなっているんです」(麻木・以下同)

 

そんな、麻木おすすめの豆乳鍋のレシピを紹介。

 

【カキの豆乳チゲ】

〈材料〉4人分
・カキ…100g
・豆腐…1/2丁
・にら…1/4束
・だし・豆乳…各200ml
・片栗粉…大さじ1
・塩…小さじ1
・しょうゆ…小さじ1/2

 

〈作り方〉

(1)ボウルにカキを入れ、片栗粉、水100mlを加えて軽くもみ洗いし、流水ですすいでざるに上げる。

 

(2)豆腐は2等分に、にらは5センチcmの長さに切る。

 

(3)鍋にだしを煮立て、豆腐を入れる。火が通ったら豆乳を加えて弱火にし、沸騰させないように温める。カキとにらを加え、火が通ったら塩、しょうゆで調味する。器に盛り、白ごまを振る。

 

「私たち更年期世代は、いわば人生における秋を迎えているわけで、悲しいけれど、体の中も外も、どうしても潤いが減ってきます。カキと豆乳、白ごまは、どれも潤いを補う食材なので、この鍋はまさしく、パワフルに体を潤してくれるメニュー。そこへ、体を温める効果のあるにらを彩りに添えました。カキが苦手な人は、ホタテやムール貝に代えてもいいですね」

 

麻木は、’16年に国際薬膳師の資格取得後の今も、薬膳の基本となる中国伝統医学(中医学)の勉強を続けている。

 

「中医学のイメージがつかめてくると、自分の体の不調に敏感になるんです。風邪をひきそうなとき、熱が出る前に首筋がちょっとゾクッとすると、『背中から邪気が!』みたいな(笑)。そして、早めにマフラーを巻こう、となる。体の不調に敏感になることで、早く病院にも行けますよね」

 

つねに自分の体の状態を知るようになると、同時に、心の変化にも気づき始めた。

 

「中医学の『中庸』という考え方と出合って、物事を俯瞰して見られるようになった気がします。日々、心身の状態が変わるのが人間で、いつもゆらいでいる。楽しい日もあれば、どんよりする日もあり、すんなりとうまくいくときもあれば、どんなに頑張ってもダメなときもある。それを、自分の都合のいい場所にビシッと固定しようと画策するから、挫折につながるわけで。人も人生も、はなっからゆらいでいるものなんだし、あちこち道草したっていい。道草しながらも、少しずつ進んでいればいい。そう理解すると、気持ちが楽に、ずいぶんと穏やかになりました」

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ゆらいだら、薬膳

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麻木久仁子

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