BW_machida
2021/03/04
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2021/03/04
本書は、これからの日本人に必要不可欠な「自信」を身につけるためのヒントを対談形式でまとめた一冊。著者は国際弁護士でタレントとしても活躍するケント・ギルバート氏と「ほめ育」コンサルタントの原邦雄氏。自分の力で生きることが求められている現代、幸せな人生を送るためには「自信」を持つことが大切だという。
ケント・ギルバート氏は、日本人が「平等」について定義しなおすことの大切さを指摘する。「平等」(Equality)という概念はアメリカから持ちこまれたものと考えられるが、日本では本来の意味を履き違えて理解している人が多いのだと言う。
「『平等』という言葉は独立宣言にもありますが、権利として保証されたのは南北戦争後の合衆国憲法修正第14条によります。その基本的な考え方は、人はそれぞれ人種、宗教などが違っても権利的には同じであるというものです。」
日本では「みんな一緒である」とか「みんな同じである」と解釈されがちな「平等」という言葉だが、アメリカではまったく違う意味で使われている。アメリカ人にとっての平等とは、それぞれの違いを認め、自分の優れたところを喜ぶことであり、才能や障害があっても、社会に平等に参加できることを意味する。
「結果の平等」ではなく「機会の平等」が求められるアメリカ。一方、秩序と安定を重視しがちな日本では、他人と違っていては困るという考えのもとに「平等」が理解されているという。
ケント・ギルバート氏はまた、子どもたちに自分の頭で考えられるように選択基準を教えることも重要だと語る。子どもたちの発言を子どもだからと退けるのではなく、間違った選択もふくめて、若い時からきちんと自分で選ぶ機会を与えないと、いざ選択を迫られた瞬間に正しい判断ができなくなるためだ。自由に意見を発する、これもまた平等のひとつの在り方だろう。
「平等」への間違った理解は、子どもたちの健全な自信を育てる機会も奪いかねない。たとえば運動会の徒競走で足の遅い子が劣等感を抱かないようにとの配慮から、順位をつけない学校が増えたこと。チャレンジに挫折はつきものだ。失敗することもあるが、成功体験は自信につながる。失敗するチャンスすら与えられていないのでは、新しいことはできないし、いつまでも自信は生まれない。著者たちは、子どもに機会を与えることの重要性をそう説く。なんてことはない。トランプ前大統領(あるいは彼が所有している企業)だって少なくとも4回は倒産しているのだ。
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