ryomiyagi
2019/12/03
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2019/12/03
二十年に亘って書き続けてきた桜川東子(さくらがわはるこ)シリーズも本作『三つのアリバイ』で最終巻となります。
この作品ではタイトル通り三つのアリバイが描かれます。
一つめのアリバイは宝石盗難事件のアリバイ。
宝石盗難事件が起きた日、犯人と思われる人物は刑務所に服役中だったのです。
アリバイ崩しの東子の異名を取るヒロイン、桜川東子は、はたしてこのアリバイを崩すことができるのでしょうか?
二つめのアリバイは殺人事件のアリバイです。
盗難の被害者が夜の公園で死亡したとき容疑者は自宅で会社の部下二人を呼んで小さなパーティを開いていました。
容疑者が持つ鉄壁のアリバイに、またも東子が挑みます。
思えばこのシリーズはアリバイ崩しから始まりました。
有栖川有栖(ありすがわありす)さんが『マジックミラー』という作品でミステリで使われるアリバイトリックを九種類に分類しました。その九種類のアリバイをすべて網羅したのが桜川東子シリーズの第一作だったのです。その後、シリーズは巻を重ね、各話の内容もアリバイに拘らなくなってゆきました。
でも、今回は最終巻です。原点に立ち返って完璧なアリバイに東子が挑んでいます。
本作で東子が挑む三つめのアリバイは“物語のアリバイ”です。
このシリーズはアリバイに拘って始まりましたが、もう一つ“物語”というものにも拘ってきました。
一作めは『九つの殺人メルヘン』とタイトルにあるようにメルヘンをもう一つのテーマとしています。それ以降、日本の昔話、オペラなど“物語とは何か”を追究していたのです。
そして最終作で、ついにその答えが見つかったのです。
はたして“物語”とは何なのか? その答えは『三つのアリバイ』の中にあるのです。
『三つのアリバイ 女子大生 桜川東子の推理』
鯨統一郎/著
【あらすじ】渋谷近辺で宝石盗難事件が連続している。犯人はまだ捕まっていない。なぜか浮き足立つバー〈森へ抜ける道〉に集うヤクドシトリオ。社長夫人の変死事件の謎解きも絡んで、いつも通りの酩酊推理が繰り広げられた果て、辿り着いた終幕とは!? 驚きの完結巻!
【PROFILE】くじら・とういちろう 1998年、『邪馬台国はどこですか?』でデビュー。近著に『恋と掃除と謎解きと』『女子大生つぐみと邪馬台国の謎』『テレビドラマよ永遠に』など。
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