人工知能(AI)から人口超知能(ASI)へ
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ryomiyagi

2020/02/24

 

人工知能(AI=Artificial Intelligence)は、金融システムや通信網を制御し、道案内や打ち間違いの探知、何を買うか/観るかさえも教えてくれる、今や私たちの「目には見えない生活基盤」になっています。このAIを牽引してきたのがアメリカ6社・中国3社の9つの巨大テクノロジー企業「ビッグ・ナイン」。しかし現在、長期的な計画を避け消費者主義によって動くアメリカと、国民のデータをすべて把握し、新世界秩序の構築を目指す中国とで、AI開発は二手に分かれて進んでいます。
「誰もが人工知能の未来に対して大切な役割を果たす事ができる」と語るアメリカ有数の未来学者が見据える、「私たちの未来」の姿とは?

 

※本稿は、エイミー・ウェブ著/稲垣みどり訳『BIG NINE』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

 

■三つの人工知能 ANI、AGI、ASI

 

人工知能は、大きく三つに分けられる。
特化型人工知能(ANI)、汎用人工知能(AGI)、人工超知能(ASI)だ。

 

現在、ビッグ・ナインはAGIシステムの開発と実用化を急速に進めている。いつの日か、そうしたシステムが論理的に考えて問題を解決し、さらに抽象的に考えて、私たちと同じ判断か、もっと適切な判断が簡単にできるようになることが期待されている。

 

AGIを使えば、さまざまな研究の突破口が開けるだろう。また、医療診断なども改善され、難しい工学的問題を解く新たな方法も見つかるだろう。

 

AGIへの進展は、やがて私たちを三つめの分野へと導く。すなわちASIだ。

 

ASIは、人間の認知的作業よりもわずかに優れたパフォーマンスを発揮するものから、文字どおりあらゆる点で人間の何兆倍も賢いものまでが想定できる。

 

AGIが普及することは、「進化のアルゴリズム」を利用することを意味する。チャールズ・ダーウィンの説いた自然選択説に影響を受けた研究分野だ。

 

ダーウィンは、種の中でもっとも強いものが時間を経て生き延び、その遺伝情報が全体を支配することを発見した。やがてその種は環境に適応していく。

 

人工知能についても同じことがいえる。最初のうち、システムは大量のランダムな可能性からスタートして――何億、何兆というインプットによって――シミュレーションを行う。最初に出力される解決策はランダムなため、実世界ではあまり役に立たない。ただし、そのうちのいくつかは他のものよりわずかに優れているかもしれない。

 

システムは弱いものを排除し、強いものを保持して、新しい組み合わせをつくる。その新しい組み合わせがさらに新しいものを生み出す。また、ときとしてランダムな微調整が変化を起こす。

 

進化のアルゴリズムは発生と排除を繰り返し、何千何百万もの改善を経て、最終的にはもうこれ以上の改善は不可能だと判断する。変化する能力を持つ進化のアルゴリズムは、AIが自らを進化させるのを助ける。

 

この話は可能性としては魅力的だが、代償を伴う。

 

どのようなプロセスを経てAIが進化したのかがあまりに複雑なため、優秀な科学者でさえ、それを理解するのが難しいという点だ。

 

したがって――たとえ現実的でなかろうと――人類の進化についての議論には、人間だけでなく機械も加えるべきなのだ。

 

■知能の進化が止まれば、生命の進化も止まる

 

これまで私たちは、地球上の生命の進化について限られた範囲で考えてきた。

 

何億年も前、単細胞生物が他の生物を巻き込んで新たな生命体が誕生した。このプロセスが繰り返され、最初の人類が生まれ、立ち上がり、膝関節が大きくなり、二足歩行ができるようになり、大腿骨が発達し、手斧のつくり方や火の使い方を覚え、脳が大きくなって、最終的に――ダーウィンのいう自然淘汰を何百万回も経て――最初の「考える機械」をつくった。

 

ロボットと同じように、私たちの身体も精巧なアルゴリズムの器にすぎない。私たちは生命の進化を知能の進化と捉える必要がある。

 

人間の知能とAIは並行して進化し、テクノロジーのせいで人間はどんどん頭が悪くなるという昔からある批判にもかかわらず、知能のはしごの一番上を目指している。

 

いまでもはっきり覚えているが、私の高校の微分積分学の先生は、グラフ電卓に憤慨していた。グラフ電卓はその五年前に市場に出回ったばかりだったが、それでも、私たちの世代はすでに怠惰で愚かになってきていると先生は主張した。

 

私たちは、自分たち人間がある日、気づいたら自分たちが生み出したものよりも頭が悪くなっているかもしれないなどとは考えない。これは近づきつつある転換点であり、私たちの進化の限界と関係している。

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BIG NINE

BIG NINE巨大ハイテク企業とAIが支配する人類の未来

エイミー・ウェブ/著  稲垣みどり/翻訳

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