清原和博を支える僧侶が送る槇原敬之と沢尻エリカへの助言
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写真・宮澤正明

 

「たまたま、沢尻さんや槇原さんという著名な方が逮捕されたので大きな問題となって報じられましたが……。もはや、誰がいつ捕まってもおかしくないほど、薬物は私たちのすぐそばに、私たちの社会に紛れ込むようにして存在していると、私はそう認識しています」

 

今月6日、裁判で麻薬取締法違反の有罪が確定した女優・沢尻エリカ氏。一方、今月13日には歌手の槇原敬之容疑者が覚醒剤取締法違反(所持)と医薬品医療機器法(旧薬事法)違反の疑いで逮捕された。

 

2人について言及したのは、元プロ野球選手・清原和博氏との対談集『魂問答』が好評の、僧侶・鈴木泰堂氏。

 

4年前、覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕・起訴され、現在も執行猶予中の清原氏の更生を支え続けているのが、薬物乱用防止教室講師の資格も持つ鈴木氏だ。

 

『魂問答』のなかで鈴木氏は清原氏に「いずれは逮捕されたことを感謝する日がきますよ」と話している。沢尻・槇原両氏にも、鈴木氏は同様の言葉を投げかける。

 

「簡単には止めることができないもの、それが薬物です。ですから、沢尻さんや槇原さんにも、今回の逮捕を『再スタートのチャンスをいただいた』と捉えて欲しいですね」

 

そこまで話して、鈴木氏はこんなたとえ話を始めた。

 

「自動車のスピード違反の取り締まりで検挙された人のなかには『あ~あ、自分は運が悪かったな』と思う人、少なからずいますよね。でも、考えてみてください。スピード違反の取り締まりをする場所というのは、その先に事故多発現場があったりするものです。取り締まりに掛からず、もし超過した速度のまま走って行ったら、大事故を起こし命を落としていたかもしれないのです。それを思えば、検挙された人というのは、命を救われた、むしろ運が良かった、そうとも言えませんか。
薬物乱用も同じです。逮捕されたことで失うものはたいへん大きいと思いますが、それでも、やはり私は沢尻さんや槇原さん、それに清原さんは運が良かったと思うのです。
自ら止めることができず、自らの身体を傷め続けた薬物を断つための縁をいただいた、そう思って更生に励んでほしいと、そう願っています」

 

写真・宮澤正明

 

「それにしても……」と鈴木氏は続けた。

 

「沢尻さんや槇原さんのニュースでもそうでしたが、清原さんの記事がインターネットに上がるたびに、私は『世間には、顔も名もない預言者や裁判官がたくさんいらっしゃるんだな』と驚かされるんです。
清原さんたちの記事のコメント欄にはたくさんの意見が寄せられますが、そのなかで散見されるのが『はい、一発アウト』とか『またやるよ、絶対』という冷たい言葉。
確かに、彼らは法に触れる罪を犯した愚かな人たちです。断罪されて然るべきでしょう。ですが、そんな簡単に、心無い言葉で切り捨ててしまって、本当にいいんでしょうか。
先に述べたとおり、薬物はみなさんが想像する以上に、私たちの身近に存在しています。薬物問題は決して対岸の火事ではありません。身近な誰かが薬物に手を染めてしまう、その可能性も決してゼロではないのです。
もし、あなたの大切な人が、まかり間違って薬物依存症に陥ってしまったとしたら、果たしてあなたは『一発アウト』と切り捨てられるでしょうか? 『またやるよ』と突き放せるのでしょうか?
私たちが暮らす社会は、そういったことにまで真剣に思いを巡らせることが必要な時代になっている……私はそう思っています」

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