今日から真似したい!通訳者が見た「世界一」の成功哲学
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BW_machida

2020/12/01

ノーベル賞受賞者、元大統領、営業の神様、マーケティングの巨匠、記憶力世界一……。様々な分野で「世界一」に到達したスペシャリストたち。彼らの言葉を一番近くで聞き続けた同時通訳者・小熊弥生さんが、その成功哲学を紹介する『「最速」で結果を出す人の成功哲学』(光文社)。特別な才能や強運がなくても、目標を達成させるためのヒントが盛りだくさんの本書を紹介します。

 

 

TOEIC280点からのスタート

「20歳でこの英語力じゃ、通訳は絶対に無理」

 

著者の小熊さんが通訳者になることを志した20歳当時、こんな言葉を何度も言われたといいます。今や、各国首脳が集まる国際会議や官邸の記者会見、世界的な著名人の同時通訳を任される小熊さんですが、20歳で初めて受験したTOEICのスコアは280点。
日本生まれ、日本育ち、留学経験もない小熊さんの英語力はとても同時通訳者を目指せるレベルではなかったそうです。

 

それでもあきらめず勉強を続けた結果、わずか半年で800点越えのスコアを取り通訳学校の入学資格を得ます。そして3年後、英会話講師をしながら通学を続け、英検一級に合格、TOEIC960点に到達した小熊さんは、念願かなって通訳者としてのキャリアをスタートさせました。

 

しかし、通訳者になってからも自身の英語力へのコンプレックスは残っていたそう。
帰国子女や高学歴の人に囲まれて働く中で、「自分はダメ」「できない」、そう感じる日々が続きました。

 

「最速・最短」で結果を出す方法=モデリング

Success leaves clues. 成功者たちの共通点

 

そんな小熊さんが変わったのは、世界の一流の人々の同時通訳を務めるなかで、成功哲学を学んでからのこと。「できない私」から「できる私」になり、通訳の依頼の量も、報酬も変わったといいます。

 

小熊さんを変えた成功哲学のうちの一つが、モデリングと呼ばれる学習方法です。
モデリングとは、自分が設定している目標をすでに達成している人を見つけて、その人がやっている方法をそっくりそのまま真似すること。すでに成功している方法をなぞることで回り道せず、「最速・最短」で成果を出せるのだそう。

 

“世界一の成功者たちはそれぞれオンリーワンの道を極めた人たちなのですが、自分に必要なことを新たに学ぶときには、きっちり「モデリング」をしています。一流の人ほど、ひとたび学びが必要だと判断したら、それを達成している人=最良の先生(モデル)を見つけて学びます。そして、自分にとって必要なもの、良いものは素早く取り入れているのです。”

 

小熊さん自身も、理想とする通訳をする同業者をモデリングし、通訳前の準備の仕方から声の抑揚のつけ方まであらゆる点を真似することで実力を伸ばし、自信をつけることが出来たのでした。 

 

「世界一」が実践する朝活習慣

本書で小熊さんは、様々な分野で「世界一」に昇り詰めた12人を紹介しています。
その中の一人、ブライアン・トレーシーは、アメリカの講演家・ビジネスコンサルタントです。肉体労働から始まり営業の仕事を経て、トップビジネスマンになったブライアンは、日本ではベストセラービジネス書『カエルを食べてしまえ』(ダイヤモンド社)で知られます。

 

【成功例1】 世界一のビジネス指導者はここがすごい! 営業の神様、世界一のコンテンツホルダー ブライアン・トレーシー年齢を重ねても変わらず、素晴らしい講演で聴衆を魅了。 椎間板ヘルニアで首が90度以上回らなくなっても世界中を飛び回り、自分の英知を人々に共有し、社会貢献し続ける。『新版 カエルを食べてしまえ!』(門田美鈴訳、三笠書房)など著書多数。

 

ビジネスの道を極めた彼は、成功のためには「朝の習慣が一番大切」だと語ります。そして、次のような習慣を実践していたそうです。

 

【ブライアン・トレーシーの朝習慣】
1.寝る前に、次の日にやることを計画しておく。
2.朝一番にその日やる目標を立てる。
3.メールやSNSを絶対見ない(朝一番にやるべき大切な作業が終わるまで見ない)。
4.運動する。ヨガやストレッチを中心に。もっと運動したいときは1時間ほど早起きして水泳やウォーキングなどの有酸素運動。
5.読書をする。自分が興味のある(仕事に役立つ)分野の本を30分だけ読む。
6.瞑想する。

 

“彼はやると決めたことを徹底してやる、それを積み重ねてきた人です。調べて勉強して、決めたことをしっかりやって成果を出した人です。それを半世紀以上続けてきたのです。”

 

ブライアンの日本公演の通訳を任されたことで彼と知り合った小熊さんは、その自己規律と有言実行の精神が、「世界一」の成功につながったのだろうと話します。

 

成功体験と、成功へのイメージ「モデリング」が、目標達成に向けてのアクセルとなる

 

自分だけの「世界一」に

ブライアン・トレーシーは朝活習慣のほかに、自己肯定感を高めるトレーニングを実践していました。「I like myself. 私は自分が好き」と、100回自分に言い聞かせるのです。

 

小熊さんは、このように自分を肯定するマインドを持つことが成長を速めると言います。

 

“想像してみてください。自己肯定感が高く自信にあふれている自分と、自己肯定感が低く自信のない自分を。前者はなんでもチャレンジし、どんどん新しいことを吸収し、成長していきます。後者は、チャンスが目の前にあってもしり込みして自分の殻に閉じこもったまま、成長もできません。”

 

小熊さん自身、30代までずっと低い自己アイデンティティで生きてきたそう。社内通訳として働いていた頃、感情豊かな表現をする小熊さんの通訳は「大げさすぎ」「目立ちすぎ」と批判されました。そんな環境の中で、「一流の通訳として活躍したい」と夢に向かってアクセルを踏み込みながらも同時に、「私なんかどうせ無理」と心のブレーキを踏んでしまっていたのです。
その後、「世界一」の人の同時通訳を経て自分を変えることができた小熊さんは、読者にこう語りかけます。

 

“「世界一なんて私には無理。だって特別な才能なんかないし、お金持ちじゃないし、ただの会社員だし、派遣だし……」そんなことは関係ありません。あなたにしかできない世界一があります。誰もが可能性を持っています。(中略)今、まったく芽が出てない人もちょっとしたきっかけと決断次第で変われます。” 

 

文・写真/藤沢緑彩
イラスト/村上テツヤ

 

世界一100人を同時通訳してわかった「最速」で結果を出す人の成功哲学
小熊弥生/著

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