企業が求める12の能力 必要とされる社会人になるために
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ryomiyagi

2020/04/28

「自分とは何か?」就職活動、社会人生活、家庭の中で……。人生の様々な場面でぶつかるこの問いに、就活中の具体的な問題の解説から、心理学、ソクラテス以来の哲学までを横断し、生徒5人とそれぞれの専門家とのディベート形式で迫っていく高橋昌一郎『自己分析論』。その中から、厚生労働省が調査した「就職基礎能力」と「社会人基礎力」についてご紹介します。

 

※本稿は、高橋昌一郎『自己分析論』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

 

 

■企業が学生に求める能力とは

 

文学部A そもそも企業は、私たちに、どのような能力を求めているんでしょうか?

 

就職アドバイザー それは業種によっても異なってきますが、厚生労働省は、2004年に日本の企業が求める「就職基礎能力」を実態調査して、次のように定義しています。

就活基礎能力

 

医学部E やはり「コミュニケーション能力」が最初に求められているんですね。これは、病院に勤務する医者も同じことですね。患者に対してだけではなく、「医療チーム」全員のコミュニケーションがスムーズに取れていなければ、大事故にもつながりかねない。

 

就職アドバイザー この実態調査で興味深いのは、これらの「個別能力」と「採用可能性」の相関関係が報告されていることです。

 

その「採用可能性」の数値は、「コミュニケーション能力」=18.0、「職業人意識」= 18.0、「基礎学力」=12.2、「資格取得」=11.3、「ビジネスマナー」=7.0となっています。これらを合計すると「採用可能性」は66.5パーセントですから、就活生にとっては、どれも必要不可欠の能力といえます。

 

■3つの力と12の能力要素

 

医学部E それにしても、特定の「資格取得」は別として、ここに挙げられている「コミュニケーション能力・職業人意識・基礎学力・ビジネスマナー」というのは、最低限度の「就職能力」というか、社会人であれば当然持っていなければならない能力でしょう。

 

就職アドバイザー たしかに、おっしゃるとおりです。そこで皆様が、就職活動における自己能力を判断するために便利なのは、経済産業省が2006年から提唱している「社会人基礎力」です。

 

こちらでは、「前に踏み出す力」・「考え抜く力」・「チームで働く力」の3つの「力」を設定し、それぞれの「能力要素」を提示しています。

 

社会人基礎力

 

法学部B この12の能力があれば、ようやく「社会人」として立派に認められるということなのか……。

 

就職アドバイザー 「社会人基礎力」の修得も、「インターンシップ」への参加と同様に、国を挙げての推進事業といえます。
経済産業省が2018年に「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」で報告した結果でも、「社会人基礎力」はますます「重要性を増して」いると位置付けられています。

 

皆様は、ここに挙げられている12の「社会人基礎力」の一つ一つについて自分に当てはめて検討し、どれが不足しているかを再認識してください。

 

実際の就職活動が始まるまでに、できる限り欠ける部分がないように、自分を磨かなければなりませんから、ぜひぜひがんばってください!

 

理学部D 僕は「考え抜く力」に挙げられている能力は比較的得意だけど、「ストレスコントロール力」とか、自信ないな……。

 

経済学部C 私は苦手な能力ばかりだけど、「ストレスコントロール力」だけは自信あるかも!

 

就職アドバイザー これまでに私は、何度も「自己分析」と「企業分析」が必要だと申し上げてきました。就職活動の極意は、この二点に尽きます。すなわち、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」です!

 

文学部A 『孫子』の兵法ですね。「敵を知り己を知れば百戦殆うからず。敵を知らずして己を知れば、一勝一負す。敵を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず危うし」……。

 

経済学部C それ、どういう意味?

 

文学部A 「敵と味方を熟知していれば、百回戦っても負けることがない。敵を知らず味方のことだけを知っていれば、勝負はつかない。敵のことも味方のことも知らなければ、必ず負ける」という意味。

 

就職アドバイザー その通り。自分のことも企業のことも、よく調べてみてください。

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