akane
2020/03/27
akane
2020/03/27
「こんな時代に自己ブランディングしなくちゃ、もったいない」
本書はこの言葉から始まる。
自己ブランディングとは何か?
それは、自分のイメージや価値を高めること。
そのためには、まず「自分がどういう人間なのか?」、自分自身を知ることから始まる。
・どんなこと(どういうとき)なら頑張れるのか?
・どういうときにやる気をなくしてしまうのか?
・他人と比べて何が秀でているのか?
このように著者は、「自分が何を考えているのか」と、そんな自分を客観視する視点が大切だという。そうすることで、自分が勝てる場所を見つけるのだ。
著者が見つけた、桜井野の花のブルーオーシャンが新宿歌舞伎町だった。
高級店や激戦区、一流と言われるようなお店で、「売上げ5位以内には入れそうだけど1位になれるかどうかは微妙…」という立ち位置よりは、お店のランクは下がっても、1位になって背中を追われるほうがモチベーションを保ちやすい性格なんです。
自分のそういう性格を見極めて、ちゃんと自分自身が把握している自分と向き合って、力が発揮できる場所を探した結果、選んだのは激戦区でも高級店でもなく、「私でもナンバーワンになれそうな店」でした。
ここから、桜井野の花のナンバーワンへの道が始まる。それは、他の誰よりも多くの指名を獲得するという分かりやすいレースの始まりだった。
お客様への対応一つとっても、自分がどう思っているかではなく、相手がどう思うかを考えなければいけない。
“お客様はどう答えてほしいのか?”を考え、それに見合った言葉を返すようにしています。
しかしそうして飛び込んだキャバクラという世界が、著者が言うようなブルーオーシャンとは考えづらい。東洋一の歓楽街と言われる新宿・歌舞伎町に軒を連ねるキャバクラの世界を海にたとえるなら、ブルーオーシャンなどではなく、強豪ひしめくレッドオーシャンなのではないだろうか? そんな世界をブルーオーシャンという著者には、他にも何か秘策があるに違いない。
お客様のニーズを探るには、ある種特別な力が必要なのだろうか?
何が求められているのか? それを知る力は、決して天性のものではなく、ある程度訓練すれば身に付く力だと著者はいう。そうして著者は、自身の強烈な”モテたい”願望によって培った「相手に良く思われたいがための、相手にとっての気持ち良い言葉を探すような習慣」を、キャバ嬢という仕事の中で磨き上げていった。
何か心にぽっかりと穴が空いたとき、”人の寂しさにつけこむ”というと表現は悪いですが、そこを埋めるのがキャバクラの役割だと自覚しています。
継続的には難しいかもしれませんが、一時的にでもネガティブな気持ちを緩和できる、安定剤のような存在でなければならないと思っています。
そして、その他大勢から抜きん出るには、自分に「キャッチフレーズ」が必要なことに気づいた。「整形に大金をつぎ込んだ女」「ホストにカモにされた女」というキャッチフレーズもキャッチーだが、やはり最も強いキャッチフレーズと言えば「数字」だ。
桜井野の花が見つけた数字は、「連続ナンバーワン」という売れっ子キャバ嬢の証だった。
こうして、わかりやすい数字で定量的に自分を表現することにより、著者は指名の数を確定していった。
それは、高度に情報化された現代社会にあって、正しいコミュニケーションの方法であり、さらに自分をアピールする術でもあった。
桜井野の花という歌舞伎町のタイトルホルダーが生まれるにあたり、そこにどんな秘訣があったのか…。まずは「ブランディング」から始まり、後の章では「コミュニケーション術」「継続術」と進んでいく。
●この記事は『「一番」という生き方』から引用・再編集したものです。
文/森健次
株式会社光文社Copyright (C) Kobunsha Co., Ltd. All Rights Reserved.