48歳、トライアウトでタイムリーを打った新庄剛志 元パートナーが明かす「勝負強さ」の秘密はポジティブジョーク
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2006年以来となる現役復帰に向け、12月7日に行われた「プロ野球12球団合同トライアウト」に参加した新庄剛志。48歳という年齢で、10年以上の長いブランクがあるにもかかわらず、タイムリーヒットを打つなど輝きを放った天才の、阪神タイガース時代の打撃の勝負強さについて証言を、元パートナーの大河内志保の初手記『人を輝かせる覚悟「裏方」だけが知る、もう1つのストーリー』から紹介します。

 

※本稿は、大河内志保『人を輝かせる覚悟 「裏方」だけが知る、もう1つのストーリー』(光文社)の一部を再編集したものです。

 

 

母の日など、ここぞの時にはホームラン

 

シーズン中はとにかく数字と結果に追われる日々ですが、彼は基本的にポジティブ。年間140試合以上もプレーしていれば、思い通りにいかない日はありますが、調子が悪いからと深刻になってしまうことはあまりありませんでした。

 

あるときは、彼の身長が183センチメートルで、打率がそれより低い1割8分近くになるかどうかというところにまできてしまったことがありました。何試合も無安打が続くと、力りきんで余計打てなくなってしまうのですが、そこまでいくと、2人で深刻になるよりは「身長より低くなってきた~」と冗談にして笑いに変えるのです。すると気持ちがリラックスするのか、また打ち始めたり……。

 

毎日試合の中継は観ていましたが、大事な場面で打席が来ると、一瞬チャンネルは変えてしまっていました(ごめんなさい!)。打っていれば塁に出ているので、塁に出ていることを祈ってチャンネルを変えたり戻したり、忙しい観戦です。

 

とにかく勝負強く、たまに試合を観に行くと、ホームランを打つ確率は高かったです。母の日などの記念日もホームランを打つことが多く、よいところを見せようと思うと集中力が高まるのでしょうか?

 

彼のバッティングでは、ホームランより三振のほうが印象に残っています。三振したときの写真を見ると、普通ではありえないくらい体がねじれて目を瞑り(そりゃ見えない)歯を食いしばっている。ホームランを打ったときのどこにも力が入っていないさわやか顔とは全く違うのです。

 

そして、きっと彼のエラが発達していることも大事だったのだと思います。歯を食いしばって力を込めるために、生まれ持った宝で、作ろうと思って作れるものではありません。私は細い顎の人よりエラが張っているぐらいのほうが、根性があっていざというときに馬鹿力を発揮できそう! と思ってしまいます。きっと色んなことで歯を食いしばって乗り越えてきたんだろうと思うから。顔にはそれまでの歩みが出ます。

 

 

人を輝かせる覚悟 「裏方」だけが知る、もう1つのストーリー
大河内志保/著

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